4割が雨漏り【雨漏りしやすい屋根形状】差し掛け屋根・片流れ屋根

住宅会社選び

 ホームインスペクションの業務で有名な「さくら事務所」の調査と、「千葉大学大学院小林研究室」の「既存住宅流通に向けた瑕疵発生特性に関する研究」という論文で築30年の戸建て住宅の40%で雨漏りが発生しているというデータがあります。

構造別の雨漏り

千葉大学大学院論文から

こちらのデータは構造別の雨漏りの発生率です。

木造住宅と鉄骨住宅で2割強、2×4で1割程度.RC造で45%程度,雨漏りしています。

日本で一番多い木造住宅は2割強が雨漏りしているデータです。

築年数と雨漏り

千葉大学大学院論文から「年数と雨漏りの推移」

次にこちらのグラフは雨漏りの発生を現したグラフです。

最初から雨漏りが発生している建物も見受けられますが、築5年から急激に雨漏れの発生が増えてきています。

築5年くらいから増え始めて30年経過すると、約4割の住宅で雨漏りしているというデータです。

これは5年目から雨漏りが始まったのではなく、当初から施工不良で建物内部に雨が浸透していたけど、気づいたのが5年目以降と考えるのが普通だと思います。

最近の建物は、外壁塗装やシーリングなどの性能の良いものを使えば、10年でメンテナンスしなくてもつ建物も出ていますが、それでも雨漏りのデータを観察していると、築10年で約1割の建物が雨漏りしていて、築15年で約2割の建物が雨漏りしていて、築20年で約3割の建物が雨漏れしています。

10年で1割というのは塗装やシーリングなどは、まだ大丈夫な可能性が高いので、最初から施工不良だった建物で雨漏りに気づいたのが5年目以降と考えるのが普通だと思います。

屋根形状と雨漏り

このデータは平成31年のデータのグラフですが、実際はこの後、急激に太陽光発電が普及して、太陽光パネルを多く載せやすい屋根形状の差し掛け屋根や方流れ屋根が流行り始めました。

差し掛け屋根
片流れ屋根

またローコスト住宅会社で、屋根勾配を緩くして差し掛け屋根や方流れの屋根にすることで、外壁材の量を減らして建築費を下げる手法があります。

外壁を減らした片流れ屋根

デザインとしても好まれる差し掛け屋根や方流れの屋根ですが、デメリットとして雨漏りしてしまう可能性が高い屋根形状です。実はそんな差し掛け屋根や片流れ屋根は雨漏りリスクが高い屋根形状です。

フラット35住宅仕様実態調査でも、20年前までは少なかった差し掛け屋根が増えているというデータもあります。

千葉大学大学院の30年で4割の雨漏りのデータはH31年ですのでその後に差し掛け屋根や片流れ屋根が流行り始め、更に住宅のローコスト化が進み、あまりにも施工費が安いと、施工不良をおこして雨漏りするリスクが高い可能性があります。

そもそも、差し掛け屋根や片流れ屋根の形状は、屋根と外壁の取り合い部分に、雨が伝わりやすく、雨水が侵入しやすいですが、更に通気口周りの収まりや水切りの収まりなどの施工不良で、雨漏りする確率がかなり高い屋根形状です
施工管理が怪しい住宅会社では、避けたい屋根形状が差し掛け屋根や片流れ屋根です。

構造躯体を傷める雨漏り

屋根は壁に比べて天井点検口があるために施工不良が見つかりやすいです。点検しやすく構造躯体に雨染みがくっきり残っていて見つけやすいです。

しかし雨漏りしている状況を確認するのは簡単ですが、どこから雨漏りしているかを見つけるのは難しいのが現状です。基本的に大規模な修繕をしないと治りません。

築6年の雨漏り状況
築6年の雨漏り状況2

こちらの写真は国土交通省で公開されている築6年の木造住宅の雨漏りが激しくしていた建物の写真です。構造用の躯体の壁が黒く腐ってしまったりバルコニーの床が腐って穴が空いてしまっています。

この状態まで来てしまうと地震の際にも、当初の計算通りの耐震性は出ないと思います。築6年でも施工不良を起こしていると、ここまで激しい雨漏りを起こしてしまう可能性があります。

雨漏りはまだ症状がわかりやすかったり点検しやすく気が付きやすいですが、このような状態だと、壁の中も施工不良で、耐力壁が痛んでいる可能性も高いと思います。

雨漏りを防ぐ方法

施工不良や雨漏りを防ぐのは。施主であるお客様が建築中に見学しても、見つけるのは難しいと思います。

私が住む香川県でも先月12月に倒産した住宅会社があります。まあまあ施工件数をこなしていた地域の住宅会社でしたが、新築住宅の施工不良で欠陥住宅として全国版のテレビで取り上げられその後すぐ倒産しました。建築した住宅会社が倒産してしまうと、欠陥住宅に住んでいるお客様も困ります。

新築住宅には当初10年間の瑕疵担保責任というのがあり、住宅会社が倒産しても後を引き継ぐ住宅会社があれば直してもらうことができます。しかし実際は欠陥住宅を補修をするのは、実際はかなり難しく手間がかかる上に工事期間の予測がたてにくく、なかなか補修する会社が現れないのが現状です。

戸建住宅の4割が雨漏りしている現状で、どう防ぐのかですが、その会社の施工管理の方法をどうやっているのか確認することをお勧めします。

私の会社の場合は第三者を含む10回検査で、700項目程度の検査し、出来上がってしまうと見えなくなってしまう基礎の背筋や壁の接合なども、写真で記録を残しながら現場を進めて、それをお客様はスマートフォンやパソコンなどを使ってご自身の建物の検査の具合を確認できるようにしています。

私が勤めている点検体制

 

実は最初から施工不良で雨漏りしている可能性が高いため2年点検など早い段階で点検してもらい雨漏りがないかを確認してもらう方法もあると思います。

また瑕疵担保保険は雨漏りなどの欠陥住宅に対応でき、新築住宅の場合新築から10年は直す義務が

あるので、10年過ぎてから点検するのではなく、10年立つ前に点検されることをお勧めします。

可能であれば、費用はかかりますが建築した住宅会社でなく、住宅診断を専門に行っている会社で住宅診断してもらうのが手堅いと思います。

雨漏りは構造躯体を痛める完全な欠陥住宅です。

そんな雨漏りは4割程度起こす可能性があるので、施工会社選びを価格だけで判断せずに、信頼を調べてみてから契約されることをお勧めします。

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