縦張り【サイディング】お勧めしない理由

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住宅の外壁材で約7割の建物で採用されている「窯業系サイデンング」という外壁材があります。サイディングは「窯業系サイディング」と「金属サイディング」がありますが、コストや性能のバランスで「窯業系サイディング」が多く使用されています。

ほとんどのサイディングは横に貼る横張りですが、種類によっては横張りと縦張りの両方できるサイデングがあります。

横張りの専用のサイディングはどう見ても横に貼った方が良さそうなデザインの柄ですが、横張りと縦張りの両方貼ることができるサイデングは、ストライプの柄だったり、板張りのようなデザインで確かに縦張りにするとシャープでスッキリしたデザインになりそうな柄です。工務店さんでよく採用しているガルバリウムの角波の外壁を模して縦張りしたいという気持ちはわからなくはないのですが、サイディングを縦張りすると構造面からするとかなりダメージを受ける可能性があるためお勧めできません。

外壁内が結露する理由

私がサイディングの縦張りをお勧めしない理由として、施工方法が気になるからです。

建物は内部と外部で温度差ができるため、どうしても壁の中の結露してしまいます。その結露を逃すのに、サイディングの縦張りだと結露した湿気を逃しにくい施工にどうしてもなってしまいます。
そもそも結露は温度差でできるのですが、それは空気は温度で保持できる水分量が違うためです。暖かい空気は多くの水分を保持でき、冷たい空気は保持できる空気が少ないためです。

1m×1m×1mの1㎥の空気だと、気温25度では最大23.1gの水蒸気量を保持できますが、気温10度だと最大9.4gしか水蒸気を保持できません。温度変化で保持できない水分が気体から液体に変わります。

よく長時間外で過ごしていて、暖かい部屋に急に入るとメガネが曇ったり、暖かい室内で妻対飲み物をグラスに注ぐと、グラスの外側に水分がつきます。これと同じことが住宅の壁の中でも起こっています。

外気温が高い夏に室内をエアコンで冷やしたり、外気温が低い冬に室内を暖房すると、壁の中でどうしても結露が起こってしまいます。

サイディングの施工方法

サイディングを縦張りするときは、内部結露を避けるのに、湿気を逃す通気工法の部材の胴縁と呼ばれる材料を横方向に止めていきます。

縦に長い材料は横方向に胴縁を取り付けて、その胴縁にサイディングを縦張りします。

横方向に胴縁を取り付けると、見て明らかなように、外壁の通気が悪くなってしまいます。壁の中の上昇気流や、水分を排出するのに明らかに縦に胴縁を取り付けた方が通気性がよくなります。

冬場はエアコンなどで暖房すると、暖かい空気が天井付近にたまるのと同じで、暖かい空気は上に登っていきます。

外壁内でも同じで、外壁内の上昇気流が横胴縁だとどうしても上に行きにくく、壁の中の乾燥を妨げたり、結露した水分が横胴縁で下に行きにくくなります。

縦張りの対策

明らかに通気しにくかったり、水分が排出しにくい横の胴縁ですが、建築基準法では、1820mmの感覚ごと30mmの隙間を開けるように決まっています。30mm間隔をあければ、上昇気流や水分の排出の妨げにならないといった考え方です。

しかし現実はそう理想通りにはなりません。

日経クロステックという業界雑誌で30mmの隙間を検証していましたが、現実はうまく通気できていませんでした。理論と現実は違うことは、建築の世界ではよくあることです。

そのほかの対策として、一般的に胴縁は木を使いますが、木以外の材料で、所々えぐれてて通気や水分を逃す横胴縁専用の部材も売られています。価格が少し高かったり、空気を通す肉厚が薄いところでたまたま外壁をとめないといけない場所に出くわすと、うまく施工できなかったりと、気を使って施工するために甘利普及していません。

また最初に縦に胴縁を取り付けて、その縦の胴縁に横の胴縁を取り付け、井桁に組んで通気させる方法もありますが、これも施工が大変なことがありほとんど見かけません。

実際に外壁越しに明らかに内部結露している建物を見かけますが、胴縁周辺で激しく結露しているのがわかります。

どうしても縦のストライプの外壁にしたい場合

今まで私は500棟以上の建物をお手伝いしてきましたが、サイディングの縦張りをあまりお勧めしていないため、一回も施工した経験がないので、実例で結露した現場を担当したことがありません。実物実験している住宅関連の情報誌などを見ているとお勧めしにくく、更に現場は理想通りにいかないことがあるため、サイディングの縦張りは避けたいです。それでもどうしてもシャープな縦のストライプにしたい場合はサイディングではなくガルバニュームの角波の方がお勧めです。

この材料は金属サイデングで表面はガルバニュームですが裏に断熱材が入っています。

このタイプの金属サイデングも建場離するときは横方向に胴縁を取り付けますが、この材料では無く、裏に断熱材がついていないガルバニュームの角波をお勧めします。裏に断熱材がついていないため窪んだ隙間がモロに空いてて縦方向にガルバリウムを貼っても、ストーンと上下方向に空気層がとれてて、横胴縁でも壁の中の上昇気流や水分の排出は抜けやすくなります。

角波のデザイン以外でも平らな形状のガルバリウムもありますが、平らな形状だと少しの衝撃で凹みやすいので、角波の方が強度が強くお勧めです。

どうしても縦ストライプの外壁にしたいときはガルバリウムの角波をお勧めします。

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