【解説】ウクライナ情勢でなぜ住宅ローン金利が上昇しるのか?

ニュース・税制・法令

今年は住宅ローンの金利が上昇して住宅が買いにくくなってきていることをお伝えしていますが、さらにウクライナとロシアの戦争で住宅ローンが年初の予想よりも上がる可能性出てきています。

「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいな理論で、ウクライナとロシアの戦争で巡り巡って住宅ローンの金利が年初の予測より上がっていくのかを解説します。

 

ウクライナ・ロシア戦争の前から物価上昇

今年に入ってモノの値段がグングン上がっています。来月4月も食料品や日用品など500品目以上が値上げになります。4月の値上げは今年の年初から予測していました。

日本ではバブル崩壊から30年間平均給与は上がっていませんが、アメリカをはじめ世界の先進国は平均給与が上がり、消費が進みモノの値段が上がっているからです。

さらに新型コロナウイルスの蔓延でステイホームが続き、一旦は消費が冷え込みみましたが、感染拡大が収束になると消費が冷え込んだ反動が振り子のようなよりもどしで、今度は大量な消費が進み、ネット通販を中心に消費が増え物流が増え、供給が追いつかなくなり、価格が値上がりしていました。コロナウイルスは病気の症状だけでなく、モノの消費や働き方などを大きく変えて、時代の早送りのように時代の進化を早めています。

特に値上がりで注目するのが原油と小麦です。第一生命経済研究所の推測では、原油が高値の1バレル120円で推移した場合、2人以上の一般的な家庭の生活費は年間で6万8千円上がるとすいせおくされています。そして、4月から値上がりする小麦も2人以上の一般的な家庭の生活費は年間で2千円上がると推測されています。原油と小麦の値上げで2人以上の一般的な家庭の生活費は年間で7万円上がると言われています。

アメリカの金利上昇で円安に

日本に影響を強く与えるアメリカでは、日本より早くからコロナ後の景気回復で様々のものが買われ物価上昇しています。先々に価格が上がるのだったらと値段が上がる前に、自動車や住宅を買う人が増えローンを組む人も増えています。そんな流れからアメリカの中央銀行FRBは行き過ぎた物価の上昇を抑えるために、ローンを組みにくくして、過熱化している消費を抑えて、経済の動きを静めようという動きになりました。先週3月17日に利上げを決定して、これまで続けてきた実質ゼロ金利を0.25%に引き上げを決定しました。アメリカの金利が上がったことにより、アメリカの通貨のドルの価値が高くなり、世界的にアメリカのドルを買う流れから、日本の円が売られて、日本円の価値が下がり円安になっています。

連休明けの3月22日の東京外国為替市場は、円相場が1ドル=120円台まで値下がりし、およそ6年1か月ぶりの円安水準となりました。

円安になるとなぜ日本のモノの価格が上がるかということですが、アメリカで1ドルの価値のものを輸入するのに、為替が1ドルが100円から120円に円安になると、日本に輸入今まで1ドル100円で購入できていたものが120円払わないと買えなくなるので物価が上がるということになります。ドルの価値が上がっているので、多くの日本円が必要になってきています。

 

ウクライナ情勢でさらにアメリカの金利上昇の可能性

またアメリカの中央銀行FRBのトップのパウエル議長はロシアのウクライナ侵攻で原油や他の商品は短期的に上昇圧力となるだろうと発言していました。ロシアは原油を中心に資源が豊かな国だけに、世界的にロシアからの輸入をしないロシアに対する経済制裁が続くと物価が上がる可能性が高いということになります。ウクライナ情勢次第で、物価上昇が続けば金利をさらに上昇させて、ローンで物を買いにくくすることで、物価の上昇を急ごうとする可能性があるということになります。3月21日の会見で今後の金利の可能性については、0.25%から0.5%に大幅に利上げするのが適切な時期になったら利上げすると語っていました。アメリカの金利が上がると、日本の住宅ローン金利にも影響が出ます。現在の日本の住宅ローン金利は変動金利はさほど変わっていませんが、固定金利は今年に入って上昇しています。

実際のケースで1月から3月の間に0.25%程度すでに上昇しています。3000万円を35年返済で住宅ローンを固定金利で組むと、1月にローンを組んだ場合と、3月にローンを組んだ場合の差は毎月払いで3100円くらい、3月に住宅ローンを組んだ方が高くなっています。

3月の住宅ローンの金利はウクライナ情勢が反映していませんでしたが、ウクライナ情勢によってはアメリカがまた大幅な利上げを行う可能性が高くなっています。そのことにより日本の住宅ローンの固定金利も4月以降大幅に上がる可能性もあると思われます。

日本では欧米に比べてワクチンの接種も遅れて、景気回復も遅れている上に、今後物価の上昇や住宅ローン金利が上がると、経済に様々な影響が出てきています。

物価上昇・金利上昇で住宅検討者が増えています

日本ではコロナ前は、物価が下がったり、長いゼロ金利で物を買いやすい状況が続いていましたが、物価が下がったり、金利がだんだん安くなると、心理的に慌てて買わなくてもという気持ちが働き、さらに消費が冷えて、ものが売れず、ものが売れないので給料は上がらず、給料が上がらないので、さらに物を買わなくなるといったデフレスパイラルでしたが、世界がコロナウイルスが収束し始めると、物価が上がり、金利も上がる局面になると、急いで住宅を検討される人も増えてきました。私がはじめて住宅の仕事をしたときは、住宅ローンの金利は5.5%と今では考えれないすごく高い金利で、借りた金額以上に利息を払っていました。その時に比べると、1%をきった住宅ローン金利がまだまだある状況だと低金利と言えますが、住宅を買う立場からすると、同じ金額を借りるなら支払いが安い低金利の方が圧倒的に生活が楽です。

実際このところ住宅の仕事をしていて、住宅を検討されている方からの相談が増えて、超多忙になってしまいました。

物価上昇や住宅ローン金利上昇の局面では、生涯住む住宅をどうするのが自分にとって最適なのか見直す機会にもなると思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました