新型コロナウイルスの蔓延で企業存続が厳しい会社に対して、国が様々な制度で資金繰り支援策で企業を支援しています。
苦しい企業に対して資金繰りの資金を貸し付けているため、2021年の建設業の倒産は1,065件と前年比14.5%減で過去30年間で最少でした。しかし、資金が借りれたことで倒産がまのがれても、企業の財務体制が改善されたわけではないので、実質は倒産が先送りになったに過ぎない企業も多く、法的手続き準備中などを含む「新型コロナ関連破たん」は少しづつ増加しています。
今回は少しづつ増えている建築業の倒産の状況と対応策についてご紹介します。
建設業のコロナ破綻の現状
3月2日に全業種の新型コロナ関連破たんが3,000件を超えました。業種別では飲食業が517件で17.2%を占めていますが、次に多いのが建設業です。建築業のコロナ破たんは318件で10.6%と全体の1割が建築業の破綻です。
建設業のコロナ破たんは2020年4月に初めて発生し、以降も最初は月間10件前後の低水準でした。しかし日本より先に新型コロナ感染が広がった中国やアジアなどの海外工場が操業停止すると、たちまち建材や部材などが入ってこなくなると、納期がズレ初めて工事に影響しはじめ、体力のない工事業者のコロナ破たんが発生し、2020年12月は月間20件に達しました。やがて資材の仕入が次第に安定してきた収2021年初めに、今度は日本でも感染拡大が本格化し、三密回避で工期が長期化したり、予定していた工事の中止も増え、21年6月と11月は月間最多の22件のコロナ破たんが発生しました。更に追い打ちをかけるように鋼材など建設資材や燃料の高騰、人手不足も重なり、2022年2月は23件と最多を更新しました。
特に一般個人を対象とした小規模の工事業者は、元々経営体力が乏し上に、新型コロナ感染拡大で、工事の中止や減少で資金繰りを維持できないケースが増えてきました。
建築業のコロナ破たん318社を分析すると、資本金別では1000万円未満が191社で6割を占め、小規模な工事業者が多いと言えます。
しかし負債額別では様相が少し異なり、負債1億円未満の小規模倒産は165件で52.3%なのに対して、1億円以上は150件で47.6%もあり多くの負債を抱える建築業者もかなりあります。
なかでも、1億円以上5億円未満は125件は39.6%で約4割を占めます。コロナ関連の支援の副反応で金融債務が膨らみ、過剰債務に陥った企業が増えました。
スーパーゼネコンでも収益減
建築業の収益悪化は小規模な工事業さだけではなく、大林組、大成建設、清水建設などのスーパーゼネコンも例外でありません。スーパーゼネコン4社の2022年3月期連結の業績予想は、4社とも減益を見込みです。前年から約3割減と大幅な減益を予想されています。
資材仕入や労務管理などを徹底しているスーパーゼネコンですら減益に追い込まれたところに深刻さがあり、中小建設業者の利益環境はさらに厳しいと言えます。
これから本格的な建設業のコロナ倒産
国が様々な制度でコロナ関連の資金繰り支援策を企業に貸し付けましたが、3年や5年の利子補給などでなんとか生き延びた企業も、今年はコロナウイルス発生から3年目を迎え、現在業績が回復してなければ、早ければ来年から本格的に始まる支援を受けた返済が始まるために借りたお金が返せなくなると、どうしてもコロナ関連の支援の副反応で破綻してしまいます。実際は本来は破綻していた会社が国の資金繰り支援策でなんとかもちこたえたけど、当初3年間の利子補給の期間が終わると返済できなくなって倒産する会社が増えると思われます。
コロナウイルスも感染拡大から3年を迎えて、減少基調になっていますが、依然として高止まりで収束は現在も見通せていません。逆に前回の動画でお伝えしたとおり、様々な建築材料の値上がりで、受注に繋げるのが難しく競争激化しています。全国で50万社超と社数が多い建設業は、これから本格的な倒産が増えてくると思います。
建築中の住宅会社の倒産が最悪
住宅は完成まですると、住宅瑕疵担保制度で完成から10年間は万一の欠陥住宅でも、補修の請求ができたり、建築した住宅会社が万一倒産しても、住宅瑕疵担保保険で違う住宅会社で補修できるようの法整備されています。
しかし住宅瑕疵担保制度が利用できるのはあくまでも完成した住宅です。建築中は保証する制度ではありません。
着工するときや、上棟する時など、建築中に現金や融資などで、3割や4割のお金を支払いながら住宅会社は建築するのが一般的で、建築中に倒産すると、それまでに支払ったお金は返ってこないのが一般的です。
まあまあ大金を支払って住宅が完成しないのは、建てている人にとってかなり負担が大きく、更に現場に持ち込まれた建築材料も、お金は建築主が支払ったのに、現場に納入された建築材料は債権者の所有物となり回収されます。
建築中の住宅会社の倒産はお客様にとって本当に最悪の事態になります。
建築中の住宅会社倒産を避ける方法
建築中の倒産で不幸な結末を避ける方法として、大きく二つ方法があリます。
一つ目は着工金や上棟時金を支払わなくても建築できる大手ハウスメーカーで建築する方法です。
私は大手ハウスメーカーで2社働いたことがありますが、そのうち一社の業界最大手の建築会社は住宅が完成してからの支払いでも大丈夫でした。倒産するリスクがないくらい資本金があるからだと思います。しかし、働いていた時でも万が一。建築中のお客様が建築中に死亡してしまった時の資金回収は面倒なことになるだろうなぁと思っていました。
またもう一社務めたことがある大手ハウスメーカーの方は普通に着工金や上棟金の制度がありました。融資の場合でも住宅ローンの繋ぎ融資で回収していました。それが普通の住宅会社と言えます。
建築中の倒産で不幸な結末を避ける方法の二つ目は住宅完成保証のついた住宅会社で建築する方法です。万一の建築中に住宅会社が倒産しても保険を使って工事を続行させることができます。
現在私が勤務する住宅会社もサービスとして住宅完成保証制度が付いていますので、万一の場合でもお客様は守られます。
住宅会社と契約前に下調べをお勧め!
私の現在住んでいる香川県でも昨年末の12月末に、まあまあ手広くされていた住宅会社が倒産しました。完成までとどりつけばアフターサービスが無くなった被害が出るものの、お金の面で多大な影響はそれほど出ません。
しかし建築中のお客様は悲惨な状況になってしまいます。
過去に倒産した中堅程度の住宅会社で働いていた人の話を聞くと、倒産する日まで働いていた人は知らなかったそうです。しかし業界内で明らかに調子が急に悪くなったり、多くの人材が流出している情報は入ってきます。建築中の倒産を避けるためには、年間の着工件数が極端に減少していないか?分譲業社は銀行借入で分譲している場合が多いので、分譲住宅や建売住宅を手広く広げ過ぎて、在庫が多くなっていないかの確認はしたほうが良いと思われます。
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