このところ目まぐるしく住宅を購入する環境が変わってきています。
金利が上がらないように日銀が金融緩和することで、急激な円安からくる物価の上昇で「悪い円安」となり政府が警戒をしています。
今回は住宅ローンの金利ができるだけ上がらないようにして、できるだけ住宅を買いやすくしてくれている日銀の政策と、そのことにより、急激な物価が上昇して生活しにくくなることのどちらが良いのか選択を迫られています。
苦しい現在の日本の状況のから今後の予測をご紹介します。
アメリカの状況
アメリカでは長期金利の上昇を受け、住宅ローン金利が急騰しています。
4月8日~14日の週に30年固定金利の平均は5%となりました。金利が5%台に乗ったのは2011年2月以来、11年2カ月ぶりです。
新型コロナウイルス禍に入った2020年3月以降、アメリカのFRBによるゼロ金利政策によって、住宅ローン金利は歴史的な低水準となっていました。アメリカでは2020年12月には30年固定で2.6%台と、遡れる1971年以来の最低の金利でした。この約50年と四半世紀ぶりの低金利で、アメリカの住宅市場は活性化され、住宅がボンボン建築され木材不足になり、その影響で日本では木材が入ってこないウッドショックとなり、日本の住宅の価格が一気に値上がりしました。
円安ドル高で値上げラッシュ
アメリカを含む先進国では賃金がずっと上昇して、景気が良い状態が続いているので、物価が上昇し、アメリカ労働省が12日に発表した3月の消費者物価指数は、前年同月に比べて8.5%上がっています。
特に、ロシアによるウクライナ侵攻の影響でアメリカではガソリン価格が48.0%も急騰しています。
急激にモノの値段が上がると、金利を上げてモノを買いにくくしたり、金利を上げてドルと強くする動きになります。逆に日本では給与水準があまり上がらず、日銀の黒田総裁は大規模金融緩和を続けることで金利が上がらないようにして、ローンを組みやすい政策をとっています。
アメリカは金融引き締めで金利が上がり、日本は金融緩和で金利を下げる動きをすると、アメリカと日本の金利さが開いてくるので、金利の高いアメリカのドルを持っていた方がお金が増え、金利の低い円を持っているとあまり価値がないために、日本円を売って、アメリカのドルを売る流れになります。
つまりドル高で円安になります。
ついに約20年ぶりの1ドル126円まで円安になってしまっています。
円が売られる勢いは、他の国の通貨と比べても突出していていて、経済制裁を受けているロシアの通貨ルーブルと並ぶほど、円が売られるという事態となっています。
その背景には、日本経済の力が失われつつあるという根本的な問題もあります。
円安になると、輸出している企業は海外で販売しやすくなるために儲かりますが、エネルギーや日用品など輸入品する場合は円安でモノの値段が上がります。
現に今年に入ってガソリンや電気料金や日用品はドンドン値上がりしてます。
日本の今後の政策
日銀の黒田総裁は「強力な金融緩和を粘り強く続ける」と4月13日、東京都内で講演し、現在の大規模緩和を堅持する考えを示しています。
住宅ローンの金利は急激な金利上昇のアメリカにつられて、徐々に固定金利は上がるかもしれませんが、大幅な金利上昇はまだなさそうです。
アメリカの5%に突入した住宅ローンの金利に比べると、まだまだ日本の住宅ローンの固定金利は1%程度で安い水準です。
住宅ローンはまだまだ金利が安い代わりに、円安による輸入材料が高くなり、住宅の価格は今年はまだまだ値上げになる見込みです。
つまり、金利はそれほど上昇していないけど、円安によって住宅の価格が高くなっているので、結局は住宅ローンでお金を借りなければならなくなる金額が多くなるか、自己資金を多く出すかの二択の選択になります。結局住宅は買いにくくなっています。
資源の少ない日本では輸入に頼っているので、住宅の値上がりだけでなく、ガソリンや光熱費や日用品などの生活費がどんどん上がってしまうと、ますますモノを買わなくなり、景気が悪くなる悪い円安になってしまいます。
あまりにも物価が上昇してしまうと、さすがの日銀の金融緩和も限界がきて、どこかのタイミングでは金利を上げて、物価の上昇を抑える必要が出てきます。
日銀の黒田総裁は来年4月で任期満了を迎えるまでは、円安は続き物価は上がっていくと思いますが、その後のどこかのタイミングでは金利を上げざるを得ない状況になると思われます。
皆様は金利が安く住宅ローンが組みやすい状況と、その影響で物価が高くなり生活が苦しくなるのとどちらが良いと思うでしょうか?
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