5月の住宅ローンの金利が各銀行から発表されました。
今年に入って徐々に住宅ローン金利は緩やかに上昇していましたが、各銀行から発表された5月の金利に急上昇のきざしが見え隠れしています。
今回は5月の住宅ローンの金利の傾向と、これからの金利の動きの予測となる4月28日に行われた日銀の金融政策会合の方針をご紹介します。
5月の変動金利
5月の住宅ローンの変動金利ですが、変動金利は各銀行ともに変わりませんでした。
一番安い金利がみずほ銀行の0.375%で、安い金融機関で0.4%から0.575%程度の金利はこのところずっと変わっていません。
5月の固定金利
大きく変化が見られたのは35年の住宅ローンの住宅ローン金利です。固定金利は徐々に金利が上がっていましたが、5月はその金利上昇度合いが大きくなりました。
みずほ銀行の35年固定金利は4月の1.22%から5月は1.39%に上昇し、0.17%上昇しました。
3月から4月になって金利が上昇した時は、0.05%の上昇でしたので、上昇率からするとかなり上昇したと言えます。
私が最近よくお世話になっている、私が住む香川県の地方銀行の百十四銀行も35年固定金利の住宅ローンを扱っていますが、4月の0.92%から5月は0.96%に上昇して、0.4%上昇しました。
百十四銀行も3月から4月になって金利が上昇した時は0.01%の上昇でしたので、5月の金利の方が上昇率は上がったと言えます。
ただ気になるのは金利の上がり具合で、みずほ銀行は3月から4月の金利の上昇が0.05%の上昇だったのに対して、4月から5月の金利の上昇が0.17%の上昇と上昇率としては3.4倍となり、百十四銀行でも3月から4月の金利の上昇が0.01%だったのに対して、4月から5月の金利の上昇が0.04%の上昇と上昇率としては4倍となりました。
よく見るグラフの指数曲線でいうと、今年に入って今までジワジワ金利が上昇していたのが、5月にギュンと上がったような感じで、このままこの勢いでグンとドンドン上昇しないのかが心配です。
それでも百十四銀行も35年固定の住宅ローン金利がそれなりに上がったとは言え、まだ0.96%ですとお勧めしやすい金利です。
残念ながら私は金融の素人なので経済を見通すことはできませんが、長い目で見ると35年固定金利で0.96%は安い金利だったねと振り返る時が来そうな気がします。
ただ金利が決定するのは住宅が完成して住宅の登記をする時に抵当権設定登記をして住宅ローンが実行されるので、住宅が完成した時に金利が決定されるために、大きな流れでは住宅ローンは金利上昇の兆しのため、35年固定金利を選択される場合は早めに工事を着工させて住宅を早く完成させたいところです。
変動金利と固定金利
住宅ローンの固定金利は、国債市場で取引される10年国債の利回りを基準として金利が決定されます。そして国債利回りは国債を取引する投資家の動きによって決まります。投資家は将来を予測して取引を行いますので、「今」の状況ではなく、「将来」の予測によって利回りが決定します。つまり住宅ローンの固定金利も「将来」の予測に影響されるという事になります。
固定金利に対して変動金利は短期プライムレートと呼ばれる金利を基準としています。
「短期」とは1年以内、「プライム」とは最優遇を表します。
すなわち金融機関が企業に短期資金を融資する際の最優遇金利のことです。
そして短期プライムレートは日銀の政策金利に連動します。
日銀の金融政策決定会合
変動金利の動きに影響のある気になる日銀の方針ですが、4月28日に開いた金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の維持を決めています。金利が上がらないように、指定した利回りで国債を無制限に買い入れる指し値オペを毎日実施することも決めています。
指値オペとは日銀がが金利の上昇を抑えるため、国債を指定した利回りで原則として無制限に買い入れる制度。長期金利に事実上の上限を設けることです。
このことにより当面、変動金利は上がらないと言えます。
つまり投資家の将来の予測の固定金利との差は現在広がっている方向性とも言えます。
金利を上げにくい状況
アメリカの金利上昇の局面で、日本が金利を上げない方針で進めていくと、日本の円を持っていても利息が増えないので、金利が高いアメリカのドルを持っていた方が利息が増え得をするために、日本円を売って、アメリカドルと買う流れになり円安ドル高となっています。
1年前の4月30日は1ドル109.17円でしたが、1年後の今日4月30日は129.79円と1.2倍近く円安になっています。1ドルの価値の物を輸入すると、1年前より20円多く払わないと買えないということで、円安が進むと物価は上昇してしまいます。
アメリカはまだまだ金利を上げる方針で、日本は金利を据え置く方針ですので、まだまだ円安ドル高は続き、金利は上がりませんが、物価は上昇してしまうことになり、結果輸入品が多い住宅もまだまだ住宅価格は値上げになる流れとなります。
本来物価が上がると金利を上げて物価の上昇を抑えたいことろですが、金利を上げると基本的にはローンを組んでまで物を買わなくなり、景気は悪くなります。
アメリカはインフレでモノの値段が上がっても、同時に給与水準も上がっているので金利を上げて景気を落ち着かせたいところですが、日本は円安でモノの値段が上がっても多くの人の給与が上がっていないので金利を上げて景気を悪くすることができないし、金利を上げない代わりに円安になり物価が上昇してしまうという打つ手がない状態と言えます。
現状としては、政策金利に連動する変動金利の住宅ローンはしばらく金利が上がらないと予測できますが、投資家の将来の予測で決まる住宅ローンの固定金利は、いつまでも物価の上昇を放っておくわけにもいかず、いつかは金利を上げなければならないとの予測から金利上昇の傾向と言えます。
日米の金利の差が今後も開くことにより、円安は更に進み今後も物価が上昇していくことで、住宅を購入する環境は徐々に悪化していく流れになりそうです。
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