不動産価格高騰の理由のひとつ【外国人の不動産購入】

不動産

シンガポールでは外国人の不動産購入に課す税率が2倍に引き上げられます。中国人富裕層の流入急増に対し政策当局がより強い認識を抱いていることが示唆されます。

日本でも今の円安は外国人からしたら日本の不動産を割安に感じ購入の後押しになっています。

そこで今回はシンガポールでの外国人の不動産購入の状況と、日本の外国人の不動産購入について現状をご紹介します。

シンガポールの外国人の不動産購入背景

シンガポールの不動産は外国人富裕層の安全な投資先と見なされています。

超富裕層の資産を管理・運用するファミリーオフィスがシンガポールの銀行に預ける資産は増加傾向で、シンガポールではマンションから高級車、ゴルフ会員権に至るあらゆる価格が高騰して、貧富の格差が拡大するとの懸念も浮上しています。

シンガポールではここ数年、中国から移り住む超富裕層が増加しています。中国政府は昨年まで、新型コロナウイルスを徹底的に抑え込むとして、ロックダウンなどを通じたゼロコロナ政策を実施していました。こうしたことが影響しているとみられています。

ブルームバーグ・インテリジェンスによれば、家賃上昇と好ましい需給ダイナミクスを背景に、シンガポールの住宅価格は第1四半期に3.2%上昇した後、年内に最大5%値上がりする可能性があるとのことです。

政府は声明で不動産価格は需要が堅調な中、再び加速の兆しが見られるとし放置すれば価格は経済ファンダメンタルズから離れ、所得に対し持続的に上昇するリスクがある」と指摘しました。

そこでシンガポールでは今回外国人の不動産購入に課す税率を2倍に引き上げらるという流れとなりました。

シンガポールの外国人への税率

シンガポールでは2023年4月27日に発表された新たな措置によれば、

住宅購入の加算印紙税税率が外国人の場合、30%から60%2倍に引き上げられます。

更に課税逃れを防ぐため、法人や信託を利用する場合の税率も65%に引き上げられます。

また外国人だけでなく永住権保持者や国民が2軒目の居住用不動産を購入する場合の課税も強化され、

永住権保持者は25%から30%

国民の2軒目の住宅購入に対しては17%から20%

それぞれ4月27日から税金が引き上げられます。

今回の課税強化について、投資需要を抑制するための初期的な措置だととのことです。

外国人購入者は外国人として購入すると税金が高いので、永住権を取得する人が増え、永住権や市民権を取得するまでの間、賃貸を選択するため、賃貸市場の需要が高まる可能性があるとの観測が出ています。

日本の不動産の外国人購入状況

日本でも外国人による日本の不動産購入の爆買いが話題となっています。

2023年2月に中国人女性が日本の島を買ったことをショート動画プラットフォーム「TikTok」で報告し、中国だけでなく日本のネット上でも物議を醸しました。

2013年のアベノミクスで円安の流れが生まれたころから日本の不動産にポテンシャルを見いだしている外国人が出始めました。

更に2022年の春ごろから急激に円安が進行したことで日本の不動産物件が割安になり、物件を購入しやすくなり、円安が日本の不動産に投資しようかどうか迷っていた外国人の背中を押した流れになっています。

日本の不動産を購入する外国人の5割が個人の富裕層です。

残りの5割は企業やファンドなどの法人です。

個人の場合は、ビジネスや観光で日本をよく訪れる人がセカンドハウスとして戸建てやマンションの一室を買い、法人の場合はマンションやビルの建物全体、土地などに投資しています。

個人の外国人には東京都内の1億~2億円程度のタワーマンションが人気で、彼らは現金で買っています。また、1000万~2000万円ほどの地方都市の物件も売れ筋だそうです。

香港の物件と比べると、同じ価格帯なら日本のマンションのほうが広く、水回りなども整備されているため、コストパフォーマンスが高いのが、日本の不動産が売れる理由になっています。

立地的に売れやすいのは繁華街に近いエリアで、東京都内なら恵比寿、六本木が人気があり、逆に日本では高級住宅地のイメージがある世田谷の物件は、土地勘のない外国人には人気がないようです。23区から外れるとさらに減るそうです。

また、地震の懸念から鉄筋のマンションは売れるが、木造は敬遠されています。

外国人からすると日本はまだ英語でビジネスを展開しにくいところがある一方で、製造業を中心とした技術力は高く、これから国際化が進んでいけば、まだまだポテンシャルがある国だと外国人の目には映っているとのことです。

外国人による日本の税制対応

日本の場合、購入から5年以下で売却した不動産にかかる短期譲渡所得の税率は約40%で、5年を超えて保有した場合の長期譲渡所得なら約20%と、税率に約2倍の開きがあります。

そのため日本の不動産を購入した外国人は、税率の高い5年間は賃貸物件として貸し出し、税率が下がってから売却して、それなら十分に利益が出せると見込んでいます。

セカンドハウスとして住むにしても不動産購入は最終的には投資として考えていて、利益が出なければ購入しません。

海外では新型コロナウイルス感染症拡大の影響で家賃を下げる傾向にあり、不動産物件の利回りが下がってきていますが、日本の不動産は比較的安定していて都心なら年間4~6%の利回りを見込める物件もあるとのことです。

香港人、中国人、欧米人が不動産を購入する際に重視するポイントが違い

香港人立地と利回り、過去の相場価格を重視し、

中国人の場合は豪華さや広さが決め手になり、

欧米人利回り、家賃収入、諸経費などを気にする人が多いとのことです。

セカンドハウスとしてマンションなどを買った人には、ごみの分別や共有スペースの使い方などでトラブルになるケースも少なくないとのことです。

日本の住宅の値上がりの背景の一つに外国人の不動産の購入によるところも人気のあるエリアでは起きているのが現状で、世界の富裕層が日本に集まってくると日本人が少しづつ手を出しにくくなってくると思われます。

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