電気料金値上げ【2023年6月】

ニュース・税制・法令

政府は物価問題に関する閣僚会議を開き、大手電力7社が国に申請している電気料金の値上げを了承しました。各社の平均で、15%余りから39%余りの値上げ幅になり、6月の使用分から値上げが実施されます。

実は大手電力10社では5月が近年で最も高い電気料金になっていました。そこから更に大手電力会社7社が値上げになります。結局どの程度の値上げになるのかということと、値上げを申請していない電力会社との違いをご紹介します。

値上げする電力会社・値上げしない電力会社

家庭向けで契約者が多い「規制料金」をめぐって、北海道電力東北電力東京電力北陸電力中国電力四国電力沖縄電力の7社が火力発電に使う天然ガスなどの価格が高騰し、財務体質が悪化しているなどとして、値上げを国に申請していました。大手電力会社7社は値上げ幅を26.8%%~43.4%と大幅な値上げを申請していましたが、政府として電力会社は高コスト体質だと改めて批判しつつも、審査体制の強化などの改革がなされることを前提に、値上げを承認し、値上げ幅は15.3%~39.7%の値上がりにになりました。一番値上がりするのは北陸電力で申請は43.4%の値上げを申請しましたが承認されたのは39.7%となり、40%近い値上げです。次に沖縄電力は沖縄電力は41.7%の申請に対して承認されたのは36.6%の値上げです。値上げ申請した電力会社7社の内最も値上げ幅が小さかったのは東京電力で29.2%の値上げ申請に対して承認されたには15.3%でした。

値上げする電力会社 

  • 北海道電力 要求31.4%→承認20.1%
  • 東北電力 要求32%→承認21.9
  • 東京電力 要求29.2%→承認15.3%
  • 北陸電力 要求43.4%→承認39.7%
  • 中国電力 要求29.5%→承認26.1%
  • 四国電力 要求26.8%→承認23%
  • 沖縄電力 要求41.7%→承認36.6%

値上げしない電力会社 

  • 中部電力
  • 関西電力
  • 九州電力

原子力発電の稼働と電気料金

電気料金を大きく左右しているのは、管内の原子力発電が加納しているかどうかが大きく影響しています。中でも沖縄電力にはそもそも原子力発電はありません。その他の電力会社では館内の原子力発電が稼働しているかどうかは電気料金に大きく影響しています。

過去の動画で詳しく解説しています。

詳しくはコチラで

今回の値上げで関西電力と東京電力の電気料金の差は開きそうです。

目に見えないコストも結局は国民負担

電気代高騰の主な背景は、輸入原油価格の上昇が原因です。原子力燃料のウランは火力発電で用いる化石燃料よりも安価であるため、原発再稼働すれば一時的には電気料金は下がります。

しかし、将来のエネルギー政策を考えるには発電コストだけでなく電力会社が支払っていない社会負担費用も考慮すべきです。社会的費用とは原発立地自治体への補助金や原子力技術研究など税金で賄われている費用を指します。東日本大震災の2011年から12年間で交付金などに約5.3兆円が投入され、さらに東京電力福島第1原発事故の廃炉費約8兆円も国民負担です。それに電力各社の安全対策などを含めた原子力発電費約20兆円を加算すると、12年間の原発コストは33兆円を超えます。交付金や事故対策費が膨らむほど原発が生み出す電力は高価になります。

国は原発60年超の運転を可能にしました。原発は稼働期間が長期にわたり、稼働率が高いほど発電コストは下がります。しかし、安全対策費や社会的費用が増えれば採算性の悪化は避けられません。核のごみの処分方法も課題は山積みで、核燃料サイクルの要である六ケ所再処理工場は年800トンの使用済み核燃料を40年間、計3万2千トンの再処理することを前提とし、燃料の重量に応じて電力各社が費用分担する仕組みです。

国は次世代型革新炉の新増設も選択肢の一つに挙げていますが、建設費は1兆円規模に上り、事故リスクを背負いながら投資額を回収できる保証は確立できていません。

国は当面の電機料金高騰の対応に60年を超えた原子力発電を再稼働させる方向性ですが、常識で考えて60年経過した原子力発電を再稼働させるリスクが出るのではないかと心配します。国は原子力発電の安全性に絶対的自信を持っています。しかり圧倒的に電気を使用する東京に原子力発電所を計画してている話しを聞いたことはありません。発電所から電気を使う場所までの距離が短いほど送電ロスは少ない筈ですが、地方に原子力発電所は建設されます。使用済み核燃料の廃棄も人口の多いところでは廃棄されません。リスクを考えると当然ですが、国がどう説明しようとも東京に原子力発電所を建設しないというのは完璧に安全とは言えない表れです。再稼働させた場合の発電コストだけでなく将来的な廃棄の処理やリスク対策にかかる費用などの社会負担費用を含めて公平中立的な立場で現実的なエネルギー経済コストと向き合い、国民が議論しやすい材料を提示してほしいところです

YouTube版はコチラ

コメント

タイトルとURLをコピーしました