間取りをご提案する時に気を使うのは「玄関」と「水回り」の位置です。
それは多くの人がご存知だと思われる家相の「鬼門」「裏鬼門」は「玄関」と「水回り」をもって行かないのが基本だからです。
ただ間取りを作る立場からすると鬼門・裏鬼門の位置は自然の条件からして建物の中で不利な場所のために、長時間長くくつろぐ場所でない玄関や水回りを配置すると、事前条件の良い位置にリビングやプライベート空間をもっていけるので、鬼門・裏鬼門の位置に玄関などを配置すると暮らしやすく、動線も上手く纏まりやすく作れます。
しかし、鬼門・裏鬼門のことをきちんと説明してから提案しないと、「後から教えて欲しかった」とか、家族は納得しているけど両親が鬼門の位置に玄関は良くないと言ってこられることもあります。
特に風水では玄関から金運がやってくると言われるほど玄関の位置は重要です。そこで今回は鬼門・裏鬼門について解説します。
鬼は北東の桃の木からやってくる
鬼門は古代中国の地理書「山海経(せんがいきょう)」によると、鬼の出入りする門とあります。
ただし、ここで言う鬼は、あの桃太郎に出てくる赤や青でツノが生えているイメージではありません。
私の住む香川県には親切なあお鬼くんという愛らしい親切なマスコットキャラクターもいますが、その鬼のイメージではなく、風水でいう鬼は俗に言う、「幽霊」、「怨霊」、「悪霊」の類の事です。
後漢時代の書物「論衡(ろんこう)」には巨大な桃の木の北東部分の枝が門のような形をしており、そこから無数の悪霊、怨霊の類が出入りし人間に禍をもたらすとされています。
北東の桃の木から悪霊がやってくるというのは正しく迷信です。
迷信は迷信は「~すると悪いことが起こる」「~すると良いことが起こる」のように人間の行動とその結果との関係を表しています。
迷信は都市伝説の「信じるか信じないかはあなた次第」という事と同じことです。
「夜に爪を切ると親の死に目に会えない」と言う迷信がありますが、夜に爪を切るということを「世詰め」との語呂合わせから早死にする、親よりも早く死ぬと言われているのだそうで、かつて日本では爪切りに小刀を使っていたことが関係しています。夜の暗い部屋の中で、小さくて見えにくい爪を切るのは間違えて肉を切ってしまいそうで危ない、という警告からこの迷信が生まれたそうです。
つまり、厄が起こる事や起こりやすい場所などを人に伝えて、多くの人に厄が降りかからないようにするための教育の一種が迷信の本来の形でした。これをもとに、日本の家相でも北東の方位はさしさわりのある方位とされ、きょう凶方位と位置付けられました。自然条件としても、「北東」はあまり日当たりが良くない上に、湿気が溜まりやすいので、「鬼門」の思想が家相で定着しました。
北東の方位を十二支では丑寅の方位と言いますが、日本で鬼と言えば角が生えてて、寅柄のパンツ一丁の姿です。
角は丑(牛)を表し、寅柄は寅(虎)を表しています。
風水でいう鬼は俗に言う、「幽霊」、「怨霊」、「悪霊」の類ですが、日本の鬼は、丑寅の方位に存在するものとして角が生えてて虎柄のパンツ一丁のキャラクターに変化しています。
風水では禍をもたらし、家相でもきょう凶方位とされる丑寅の方位の北東の鬼門ですが、鬼は北東から反対側の南西に向け行進すると言われこれが「裏鬼門」とされた由来です。
なぜ鬼門に玄関と水回りが良くないのか
鬼門の位置にない方が良いものとして玄関と水回りがあります。
風水では玄関がもっとも重視される場所で、鬼が出入りする方位なので禍をもたらすとされていますが、水回りも鬼門の位置に良くないとされています。
中国に昔から伝わる自然哲学の思想の「陰陽五行」では北東と南西は土を意味します。
そこに水を付け加えると対立するものが互いに相手に勝とうと争う関係となり、その場の氣が非常に悪くなると考えられているので鬼門・裏鬼門の位置に水回りは良くないとされています。
鬼門封じ
鬼門・裏鬼門に玄関や水回りがある場合は、風水や家相では良くないと言われていますが、どうしても敷地形状や暮らし方などでどうしても避けれない時があったり、既に鬼門・裏鬼門に玄関や水回りがある建物もあります。
しかし鬼門封じの方法を知っておけば誰でも鬼門を封じ、大凶を吉~大吉に変えることが出来るとされています。
家相を見る各種流派によって鬼門封じの方法は異なり、色んな方法が扱われていますが、多い鬼門封じは北東の土の氣を高めて陰の氣を沈めると言う考え方です。
しかし風水を深く学んでいくと北東の土の氣を高めていくと良い氣は高まりますが、悪い氣も一緒に高まるとされています。
大凶がより大凶になり大厄になってしまいます。
鬼門の注意点として、動かさない・触らない・何もしないの三原則を守ることとも言われています。
無数の悪霊、怨霊の出入り口に変な事をしないに越したことはありません。
しかし何もしない大凶のままでいるのも運気が変わらないため、鬼門封じしたくなります。
徳川家康も江戸から北東に日光を設けました。
私の住む香川県でも四国最北端の庵治町に城の鬼門の守り神のお寺があります。
お寺を建てるとなれば現実の住宅では難しいですが、できそうな鬼門封じとして、昔からよく鬼門と裏鬼門に厄よけを置くのが一般的です。
「難を転ずる」意味を持つナンテンや、
鬼がトゲを嫌がるヒイラギを植えたり、
角を四角く囲って「清浄」の象徴とされる玉砂利を敷いたりします。
京都の堀川、寺町、丸太町、五条の各通りに囲まれた区域で、約1100の鬼門封じを見つかり、ナンテン派が約460軒、玉砂利派が320軒、ヒイラギ派が90軒見つかっています。建物の鬼門・裏鬼門の方位に厄よけを置くことが難しい場合もあると思います。
お手軽な鬼門封じで代表的なのは、清潔を心がける、明るくする、盛り塩の三つです。
何をおいても「清潔」が風水の基本と言われています。
玄関のたたきには外でつけてきた厄が落ちている可能性があるので、ほうきで掃いた後キレイに水拭きし、 玄関マットは、風水において悪い気を家の中に入れないフィルターの役目があるので、定期的に洗っておきます。
また風水では明るい場所にはいい気が入りやすいとされています。そのため、玄関の照明はつけっぱなしにしておくのが風水ではよいとされています。 その照明の色も自然光や太陽の光と近い昼光色が良いとされています。
そして盛り塩は効果的に使えば良い魔をとどめることが出来ますが、間違って使うと悪い魔をとどめてしまうと言う事になってしまうので、鬼門や裏鬼門に玄関がある場合は玄関先に盛り塩をしてしまうと、どんどん悪い魔がたまりにたまって大変な状態になってしまいますが、鬼門や裏鬼門に水回りがある場合は、部屋の入口、水回りの付近に盛り塩をすると鬼門封じになるとされています。
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