致命的な失敗【間取り】3つのパターン

住宅会社選び

■耐震性が意外と配慮されていない場合が多い。

■設計担当者が適切か?中堅の住宅会社やローコスト住宅会社では建築士が設計提案していないことがほとんど

■メリット・デメリットを検討しているか?時間軸を考慮して検討しているか?

住宅の建築で後悔することの一つに間取りがあります。一回建築してしまうと多少はリフォームでリカバリーできますが根本的にやり直すことができません

建てる前にモデルハウスを見学したり、現場見学会などでこんなふうにしたいみたいに見たものだと安心感がありますが、ご自身建てら環境にあっているとは限りません。

私は一級建築士で住宅の提案を常にさせて頂く仕事をしています。

大手ハウスメーカーに勤務したことや、こだわりの工務店で設計の仕事をして、現在はローコスト住宅の会社で働いています。いろんなタイプの住宅会社で働いてきて担当物件は400件を超えました。

いろんなタイプの住宅会社で数多くの経験をした中で、よくありがちな失敗事例や時代の変化を見てきました。いろんな条件の立地で、いろんな家族構成で、様々なデザインの住宅を設計してきましたが、後々後悔されると思われるパターンがあります。

そんな経験からご入居後に後悔される可能性が高い事例をご紹介します。

耐震性に配慮されているか?

致命的な間取りの失敗の一つ目は、注文住宅で構造的に無理している住宅の間取りです

大手ハウスメーカーの場合は、総じて設計者が提案することが大半で問題ないことが多いです。それぞれのハウスメーカーごと社内の設計原則で出来ることできないことがハッキリしてて、安全に配慮した設計になります。逆に他の住宅会社では可能なのに、大手ハウスメーカーでは採用できない間取りのパターンもあります。

開口部がやたら多く耐力壁がなかったり、耐力壁があっても効果的な場所にないため、x軸・y軸と呼ばれる方向ごとに地震の際に踏ん張る壁がうまく配置できてなかったり、建物の四隅に効果的に体力壁が配置されていない場合があります。

また間取りを作ると一般的に、南は大きく光を取り入れるため窓が大きく、東も朝日が気持ち良いので大きな窓をとりたいけど、西は西日をさけたり、水回りを配置したりと開口部が少なく壁が多くなりがちになったり、北面も同様に部屋を配置するケースが少なく水回りや階段スペースなど壁が多くなりがちです。つまり南と東は開口部が多く耐力壁が少なく、西と北は開口部が少なく耐力壁や柱が集中して多くなりがちです。そうなると地震であらゆる方向に建物が揺れると壁や柱が少ない南東方向に建物が崩れます。

実際に熊本の地震でも震度7が2回きた際1回目の震度7で構造が痛み、2回目の地震7で東南方向に建物が崩壊しています。東南海地震は30年以内にほぼくると言われていますし、熊本のようなあまり予測されていなかった地域でも地震が発生する可能性があります。

住みやすい間取りやデザイン性の高い間取りや外観はそうなるにこしたことないと思いますが、命を預けている建物が地震で壊れることは避けた方がいいと思います。

構造を犠牲にしても使い勝手やデザイン性を重視して建てることは可能です。木造住宅でも耐力壁や柱が少ない建物を、構造計算してより安全になるように計算上少しでも建物が持つように作ることはできます。ただしそうすることで上空の梁材や桁などの構造材が太くなりどうしてもバランスが悪くなります。

また2階建てや3階建の場合、1階の柱や壁と2階以上の柱と壁が出来るだけ同じ位置にくるように設計することが重要です。そのことを直下率と言います。直下率はパーセンテージで配慮していますが、直下率が低いと極端に構造的に負担が大きかったり一階の柱や梁に負担がかかります。

地震で建物が揺れるのは仕方がないです。ただ揺れた時にバランスよく揺れて揺れがおさまった時に構造にダメージがないのが重要です。建物の重心と構造的な剛心が可能な限り同じになるよう設計することをおすすめします。

大手ハウスメーカーは社内の基準が明確なのでこの辺りは大丈夫な可能性が高いですが、デザインや間取りを

優先している工務店さんや建築家、また素人に近いローコスト住宅の営業担当と間取りを検討していると、構造的に無理な建物で進めている場合が多くあります。

私の個人的な考えかもしれませんが、デザインや間取り優先より構造を優先で設計しています。建物が崩壊すると大切な命の問題もありますし、地震も一度だけとは限りません。一度は耐えても2回目の地震で崩壊した熊本地震の事例もあります。

構造的な制約がある中で最適な間取りやデザイン性を重視していきたいと思っています

設計者が適切か?

間取りの致命的な失敗の例の二つ目は設計してくれてる担当者が適切かという問題です。

大手ハウスメーカーはそれぞれの物件ごとの担当者がついて、構造的にも社内の構造の原則を守って提案してくれます。それでも窓口の営業担当を通して打ち合わせしていきます。大手ハウスメーカーの場合、営業担当の想いが強く間取りが進んでいく時と営業担当は専門の設計に任せている場合があります。

販売実績豊富な営業担当は優秀な設計担当と常に一緒の設計している場合と、営業の想いが強く営業主体で間取りが決定していく両方のパターンがあります。

どちらが良いとはいちがいに言えませんがご自身の意向のあっているのか判断されることをおすすめします。

次に工務店さんや設計を売りにしている住宅会社のケースですが、この場合はほとんど設計担当の方の考え方次第になります。経験豊富で優秀な方も多くいらっしゃりますしデザインや個性重視の方も多くいらっしゃります。

私が一番困るのはデザインや個性重視の間取りは気に入られていて、価格が合わず同じような間取りにして欲しいと相談をお受けするケースです。どう考えても構造的に無理している建物の飛び出し方や広い大空間で支える柱が極端に少なかったり、1階・2階のノリが悪かったりしているケースです。

そこを手直しするとどうして建物の個性が出なくなってしまい、ご期待に添えないことがあります。

判断されるのはお客様様で何を重視されるのかもお客様です。判断はお客様にお任せするしかありません。

構造計算すれば成り立つこともありますが、それはあくまでも計算上の理論です。最低限なんとかなるという考え方です。

また過去の動画で施工の8割は施工不良という動画をアップしていますが、構造的に無理をしてて、かつ施工不良だと一気に地震の際の倒壊するリスクが高まります。

参考動画

あくまでも理解上で、構造計算すれば可能ではなく、施工がきちんとできれば不可能ではないということです。

あとハウスメーカーでもなく工務店さんや設計事務所さんではない中堅やローコスト住宅会社の場合ですが、ほとんど場合基本的な設計は営業担当がおこなっています。それはコストを下げるためです。

ローコスト住宅会社は、タマホームさんのようにイメージしやすかったり、地域の会社でもローコストを売りに宣伝している会社もよく見かけると思います。

中堅の住宅会社とはどのような住宅会社かイメージしにくいと思いますが、具体的にはヤマダホームズさんや西日本だとアイ工務店さんなどです。

中堅の住宅会社やローコスト住宅会社の大半は営業担当が基本的な設計をします。

私は一級建築士でローコスト住宅会社で営業担当として働いていますが、それは極めて稀で中堅会社やローコスト住宅会社のほとんどの営業担当は特に建築士に免許を持っていて建築の勉強をされているわけではありません。最終的には社内の設計担当がチエックして確認申請などを出すので、最低限の構造や確認申請で問題になることは少ないです。

建築士がないと設計してはダメということではありません。建築士は持ってなくても中には経験豊富で優秀な方も多くいらっしゃります。

ただ比較的、人の出入りが激しいのが中堅の住宅会社やローコスト住宅会社の特徴の一つで、少し前まで素人だったという方も多くいます。

最近まで素人だった方がダメというわけでもなく、お客様に対して熱心で親身になって対応して同僚や上司に相談しながら最適な間取りを提案されている方もいらっしゃると思います。

私がお伝えしたいのは、営業担当に当たり外れが一番多くそれが間取りまで影響してしまうのが中堅の住宅会社やローコスト住宅の特徴ということです。

どうしても中堅に住宅会社やローコスト住宅会社でうまくいかない場合、それぞれの住宅会社で用意されている会社の標準的な規格型住宅で検討してみるという手もあります。規格型住宅は社内の設計の人が構造や生活に無理のない普遍的な間取りになっていることが多いと思います。

基本的には敷地や家族構成や暮らし方に合わせた注文住宅の方がいい可能性が高いですが、企画型住宅に少しアレンジを加える方法もあると思います。

メリット・デメリットを検討しているか?時間軸を考慮して検討しているか?

3つ目は本当にそれでいいのか検討してみることです。

なんとなくモデルハウスを見て感じがいいとか、いろんな本やネットやInstagramなどで見て良さそうだからというだけで決めていないかということです。安易な決定で決めると後悔しそうなパターンとして二つあり、一つはメリットとデメリットの両方が検討できていないということです。

例えば通り抜け出来るシューズクロークや過度に多い収納などです。あるに越したことはないと思いますが、予算や敷地の関係でそこを優先せることで逆に肝心な長く暮らす部屋が狭くなってしまっていては本末転倒です。私も自宅に屋根裏収納を作りましたが、15年以上そのままで大きなゴミ箱になっています。適材適所に必要な収納は有効ですが、収納率を意識しすぎて無駄に収納が多くても結局は不要なモノを置いているだけになりがちです。特に行き来しにくい梯子で登る屋根裏収納は、高いところに荷重が来るので耐震的にも不利です。一年たっても使わないものは捨てても問題ないものが多いと思います。また必要な時に買った方がコストが安いことも考えれます。

ただコレクター品は別です。

リビングや階段や水回りやバルコニーなどそれぞれメリットとデメリットを両方検討してみて不必要なものと必要なモノを仕分けした方がいいと思います。特に階段の位置などはメリットデメリットが一番出やすく後でリフォームで変更しにくいので注意が必要です。

二つ目の後悔しそうなパターンが時間軸を考えていないということです。

家族の変化や自分の体調の変化や周辺環境に変化に対応できているかということです。

住宅は長く住むので時間軸で考えても対応できるか考えてみるということです。例えば子供の人数や年齢や年の差などで考え方は変わります。子供部屋が必要だったり最終的に不要だったりします。また子供もやがて自動車を乗るようになります。駐車スペースの台数も検討します。

また自分自身も体調が変化した時に後々暮らせるのかという検討も必要です。くつろぐ場所や廊下の幅や水回りの位置など自分が変化した時に対応できるのか検討する必要があります。

また周辺環境も変化する可能性があるので完全には無理ですが、ある程度の環境変化を予測した敷地の中で環境の良い場所にリビングや居室など長く暮らす場所があるかも検討する必要があります。

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