住宅会社選びで、何が一番避けたい最悪のシナリオが、契約をした後の住宅会社の倒産です。
欠陥住宅だった場合、引渡しを受けた後に住宅会社が倒産すると、補修してもらえないことになってしまいます。欠陥住宅は大変な悲劇ですが、引き渡しを受けていない状況で、ある程度まとまったお金を住宅会社に支払っている場合は更に悲惨で、場合によってはそれまで支払った契約金や着工金や上等金などが戻ってこないことも考えれます。工事中の場合、引き続き途中の工事を続けてくれる住宅会社を見つけるのはかなり大変だったり、引き渡しの目処も全くたたず、建て替えでの仮住まいの家賃や、賃貸暮らしの人は工事が遅れるほど余分な家賃が膨らみます。いずれにせよ大幅に必要な資金が増え、場合によっては、それまで多大な費用を倒産した住宅会社に支払いしていても全額は返ってこず、追加の融資が受けれず計画を断念せざるを得ないことも考えれます。
住宅会社を選ぶ際に、デザイン性や住宅性能やグレード感の検討も必要ですが、住宅会社の倒産は自分ではコントロールできないので、倒産しない会社を選ぶのは最も重要と言えます。そこで今回は、住宅会社が近年多く倒産している状況と、できるだけ被害に遭わない対処法を解説します。
建築会社の倒産状況
信用調査会社・帝国データバンクが2023年9月10日発表した「全国企業倒産集計2023年8報」によると、建設事業者の倒産増加に歯止めがきかない状況となっています。負債1000万円以上の法的整理による建設事業者の倒産は、2023年8月31日までに1082件に達しています。2022年年間の倒産件数1204件にもうすぐ迫る勢いで、8月までの累計で1000件を突破したのは2017年以来となり、このペースで推移すれば、年内の建設業の倒産は1600件を超える見込みです。過去5年で最多の建設事業者の倒産になることが確実な状況です。
2019年から2020年・2021年と建築会社の倒産は減っていましたが、新型コロナウイルスで売り上げが減った企業に政府系金融機関が実質無利子・無担保で融資する仕組みのゼロゼロ融資で倒産件数が減っていただけで、今年から本格的にその支払いが始まったので、倒産が増えているという流れです。そもそも人口減少でこの20年で住宅着工数は3割減っているので、住宅会社が3割減ってもおかしくないとも言えます。あと10年もすれば20年前の半分に住宅着工数は減る予測でているので、更に住宅会社がこれからドンドン倒産してもおかしくない状況です。
住宅会社の倒産背景
人口減少以外の住宅会社の倒産理由として幾つかありますが、一つは最近始まったインボイス制度で、建築業は一人親方と呼ばれる職人さんが多いだけに所得は今後も減ることを考えると廃業する人が増えています。
他にも来年から建築業と運送業は政府の働き方改革で労働時間が制約され、職人さんは土曜日・祭日も働きたい人が多い中、働く時間が短くなると収入が減ってしまうので、これを機会に廃業する人も今後増えていきます。
大工さんや基礎工事をする人などの職人さんが高齢化で、これを機会に廃業しようと考える人が多いためです。
また今までデフレがずっと続いていましたが、消費税が10%に増税になり、住宅は金額が大きいので、税率が上がるだけでもお客様の負担は大きく増え、コロナ禍でウッドショックや半導体不足や燃料費高騰などのインフレが起こり、住宅価格はこの2年くらいで今まで経験したことないほど住宅価格は値上がりしました。
更に今後は金利上昇になっていくので、人口減少の中で住宅を建てれる人が絞られてくることで、大幅に着工数は今後大きく減っていくと予測されます。そうなってくると、需要と供給で成り立ってくるので、今のような住宅会社の数は必要なくなるのは民主主義だと自然の流れで、住宅会社は淘汰され倒産件数は今後も加速して増えていきます。
特に注意が必要なのは建築付き条件の土地・建物を多く手がける住宅会社
住宅業界で特に倒産が目立つのが、土地を購入して建築条件で建物を販売している会社です。
そのエリアで住んでいる人だったら、住んでみたいなと思うような土地を建築会社が購入して、建築条件をつけることで、その住宅会社でしか建築できないようにすることでお客様を囲い込んで、住宅を建てていく会社です。みんなが住んでみたいような土地は、そもそも土地の価格が高いエリアの場合がほとんどで、土地が売れて建物が建つまでは資金の流れは悪くなります。土地から住宅を検討している人で、建築条件が付いてなかったら買いたい土地なのにと思った方も多いと思いますが、建築条件がついているためになかなか土地が売れず、長年経過している場合をよく見かけます。
建売住宅を含めて、建築条件付きを多く手がける会社は、土地を購入して建物を建てて、売れた資金で新しい土地を購入して建物を建てるような自転車操業になりがちで、資金の流れが止まった時点で、支払いができなくなり倒産してしまうのが代表的な倒産パターンです。特に建売業者や建築付き条件が多い住宅会社は、複数の土地を所有して、リスク分散していることが多いですが、複数所有するとリスク分散にはなるものの、全体の売り上げが落ちれば、複数所有しているだけに一気に加速して倒産しがちです。
個人住宅の場合が多いですが、賃貸を手がける会社でも建築条件付きの場合があり、金利が上がったり、インフレになるような時代の変化の時は特に倒産が増えてしまいます。契約する前に特に注意した方が良いのが、建築条件付きを多く販売している住宅会社です。
倒産しそうな住宅会社の見極め方
一部上場している会社であれば、決算が発表されているので、倒産しそうかどうか見極めやすいですが、上場していない会社で倒産しそうな会社を見極めるのは非常に難しいと言えます。
末期症状の住宅会社
- 社長が居留守を使ってなかなか会えない
- トップの人たちが次々と退職している
- 上司がやたら打ち合わせ中に席を離れる
- 不審な人が出入りしている
- やたら経費削減に厳しい
- 悪い噂が同業他社で広がっている
打ち合わせの時に住宅会社を観察
せっかく住宅会社で打ち合わせするのであれば、可能な限り観察するに越したことはありません。住宅会社以外での判断方法で、できるだけ現在の工事中の物件を紹介してもらい、工事が止まって進んでいない現場がやたら多い場合も、取引先への支払いが滞り現場が止まっている場合が多く注意が必要です。
また大幅値引きも怪しく、少しでも早く工事を進めて自転車操業を回したいと資金不足を解消したいと考えていることがあります。その中でも特に危険なのが、まだ工事が先なのに、多額の契約金を入金してくれたら大幅値引きしますと言われたら、まず怪しいと思ってください。
また契約をやたら急がせたり、時期の前倒しを何度も何度も言われる場合も怪しいです。
打ち合わせをしていると一生懸命や熱心と好意的に捉えがちです。冷静に考えると魂胆が仕込まれていることがあるので、打ち合わせは1人ではなく、夫婦や親などを含めて、俯瞰的に住宅会社を観察するのは有効的です。意外と自分で気がついていなくても、パートナーがちょっとしたことに気づくことはよくあります。
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