戸建ての住宅を取得した後にかかる費用の一つに「地震保険」があります。
新築した時に地震保険に加入するのが当たり前のように、営業の人に勧められて加入している人が多いと思います。
しかし地震保険は「いらない・必要ない」という人もいらっしゃいます。
実は私も地震保険は加入していません。
ただどなたでも地震保険は不要というわけではなく、結論からすると「地震保険」に入ったほうが良い人と、入らなくても大丈夫な人に分かれます。
そこで今回は「地震保険」に加入した方が良い人と、それほど重要でない人をご紹介します。
「地震保険」を考える
そもそも「地震保険」とはどのような保険なのか確認します。
日本損害保険協会によると、「地震保険」とは「地震、噴火またはこれらによる津波を原因とする損害に対して保険金をお支払いする保険」とあります。
地震、噴火またはこれらによる津波を原因とする損害というのは、地震が原因で建物が崩壊する以外に、地震や噴火や津波が原因の火災・損壊・埋没・流失にも「地震保険」が適用になります。
逆に言い換えると、地震が原因で火災が発生した場合、通常の火災保険だけしか加入していない場合は、地震が原因で家が焼失しても「火災保険」の適用になりません。
大地震になると自分の住宅は火元にならなくても、近隣の住宅が火災になり、町内全てが火災で焼失してしまうことがあります。
今年年初に発生した能登半島地震でも石川県輪島市の観光名所「朝市通り」で火災で200棟以上が焼け、およそ5万平方メートルが焼失しています。
実はその際もきっかけは1か所から出た火の手が瞬く間に広がり、多くの住宅が犠牲になりました。
通常の火災だと瞬く間に燃え広がりにくいですが、地震が原因の場合は、同時に多発してしまったり、道路事情が悪かったりと、消防車が消火活動に駆けつけるまでどうしても時間がかかってしまうことが多いからだと思われます。
阪神淡路の震災でも同様でした。
地震による火災を損害保険会社が保証するには、保険会社が倒産してしまうほどの保険金が必要だったり、地震による火災も対象にしてしまうと火災保険金額が高くなってしまうので、地震による火災は対象外になっていると思われます。
このことは地震保険に加入すべきかどうか判断材料の大きなポイントです。
「地震保険」の加入率としては内閣府によると、
「火災保険」に加入している世帯の割合は約82%、
損害保険料算出機構によると
「火災保険」に加入している家庭のうち69.4%が「地震保険」に加入しているとのことで、多くの人が地震への備えとして地震保険に加入していることが分かります。
「地震保険」がもったいなく感じる理由
住宅ローンで住宅を取得すると基本的に「火災保険」が絶対条件になりますが、「地震保険」までは銀行は絶対条件にしていません。
しかし保険の営業の人からは地震保険をお勧めされる場合が多いのではないかと思います。
その際に地震保険に入るべきか迷われると思います。
「地震保険」は全損・大半損・小半損・一部損と損害の程度によって、実際に支払われる保険金の金額が変わります。
このうち一部損では設定していた保険金額の5%が限度額となり、大きな保険金は見込めません。
2016年に発生した熊本地震では、震度6強の地震を受けたエリアでも4割以上の住まいは一部損に留まっています。
地震保険で高額な支払いをしても、保険金として受け取れる金額が少ないのであればもったいないと感じる人も多くいらっしゃいます。
仮に全損判定を受けても、家を再建する費用全額が出る訳ではない点も、地震保険は本当に必要なのか迷う原因です。
「地震保険」で設定できる保険金額は、火災保険の保険金額の30~50%です。
地震保険に加入していても元通りにはなりません。
あくまで家の建て直しではなく生活再建を目標とするため、こうした保険金額が設定されています。
更に契約内容にもよりますが、「火災保険」は火事だけでなく落雷・破裂・風災・雪災・水災など様々なリスクに対して利用できる保険です。
一方で「地震保険」は「地震・噴火・津波といった大規模な災害のみが対象」となり、保険が適用される頻度は非常に低いと言わざるを得ません。
地震保険を支払っても確率が低いと考えてしまうと迷ってしまいます。
「地震保険」が必要な人
保険料がもったいなく感じる「地震保険」ですが、実際に大きな地震・噴火・津波に遭遇した人にとっては、生活再建のために有効な手段となります。
ではどういった環境にある人が地震保険が必要なのかここからは解説していきます。
「地震保険」の加入を検討する必要があるのは、4つの特徴を持つ人です。
一つ目は
- 地震の発生数が多いエリア・地震の発生確率が高いと予想されているエリアに住んでいるケースです。
地震大国日本においても、地震の発生数が多いエリア、または大きな地震が発生すると予測されているエリアはあります。
こうした「地震被害を受けやすいエリアに住んでいる人は、「地震保険」への加入の検討をお勧めします。
ただし阪神淡路にしても熊本にしても地震の確率は低いと思われていたエリアで地震が発生してしまっているので、一概に言えない場合もあります。
2つ目は
- 津波・噴火・土砂崩れを受ける可能性がある地域に住んでいる人です。
地震によって
津波や土砂崩れが引き起こされる可能性のあるエリア・火山の噴火被害に遭う可能性があるエリアに住む人も、「地震保険」の加入をお勧めします。
住んでいる、または住む予定のエリアのハザードマップをよく確認して、どんな災害を受ける可能性があるのか把握する必要があります。
また地震による火災の可能性ですが、目安として建築基準法で延焼のある恐れの距離が定義されています。
隣に建築物がある場合は、それぞれの外壁間の中心線から、1階で3m以下、2階以上で5m以下とされています。
隣との距離で火災の貰い火は変わってきます。2階の方が距離が離れていても延焼する恐れがあるのは、火災は高さが高いほど火の手が広がるからです。
隣の建物まで10m以上離れている場合は「地震保険」は必要ないかもしれません。
つまり一般的な住宅地の場合は地震による火災で焼失する可能性はあると言えます。
3つ目は
- 住宅ローンの残債がたくさん残っている人です。
一戸建てを購入したばかりで住宅ローンの残債がたくさんある人は「地震保険」はお勧めです。
地震で被害を受けても住宅ローンが免除になることはないので、被災にあった場合は地震保険を利用して住宅ローンをある程度は返してしまう視点が必要になります。
自宅が地震にあって住めなくなり他の場所に住むことになっても、住宅ローンの支払いが続いてしまうのは、被災後の生活を圧迫してしまいます。
4つ目は
- 地震災害に遭うと生活が困難になりそうな人です。
ある程度の資産や預貯金があれば被災しても生活できますが、万が一被災してしまうと生活が困難になりそうな人は「地震保険」の加入をお勧めします。
自宅と働く職場が同じエリアだと大きな地震を受けると当面の収入がなくなる可能性があります。
そうなってしまうと生活が困難になりそうは人は、「地震保険」の加入はお勧めです。
地震保険の保険金を受け取れれば、新たな収入源が見つかるまでの間、生活費や住宅ローンへの支払いに焦らずに済みます。
「地震保険」が不要な人
ここからは地震保険に入らなくても良さそうな人をご紹介します。
建物の建築中の手抜きがなく、耐震性が高い建物だったり、
中には地震で建物崩壊したら保証してくれるハウスメーカーも存在します。
そのような場合は「地震保険」は不要かもしれません。
我が家の場合、私自身が設計した重量鉄骨造の建物で、地盤調査したデータをお元に地下3mの土を取り除いて地盤改良しました。
施工管理も自分でおこないました。(私は一級建築士です。)
耐震性に不安を感じていません。
また我が家は隣の住宅まで100m以上離れています。また地震によるもらい火の可能性は考えなくてもよく、ハザードマップ的にも大丈夫なエリアです。
住宅の建っている環境によっても地震保険が不要なケースも考えれます。
またある程度の資産や預貯金がある場合も確率論で考えると「地震保険」は必要ないかもしれません。
もっと言えばある程度の資産や預貯金があれば生命保険も不要です。
死亡しても残された家族は暮らしていけたり、病気になっても生命保険の保険料より治療の方が安い場合が大半と言えます。
地震保険が必要な人と費用な人を解説しました。
参考にしてください。
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