日本の政策金利は、2024年3月19日のマイナス金利解除で17年ぶりに利上げになり、更に2024年7月31日には政策金利を追加利上げで0.25%に利上げしました。
1年で2回利上げするとは昨年の今頃ではなかなか予測が難しい状況でした。
そこで今回は2024年11月現在の多くのアナリストの金利予測をご紹介します。
変動金利は上がり出した
日本銀行の利上げを受け、10月から多くの銀行が変動金利の住宅ローン金利を引き上げました。
しかし金利据え置きの銀行もあったりと、銀行間で対応が分かれています。
一部先行して利上げしていたネット銀行は現在ほぼいっせいに金利を上げています。
現在は日本銀行による今年3回目の追加利上げを、12月に決定するのかが注目されています。
住宅価格が値上がりしている上に金利上昇は、住宅業界にとってもかなり大きな影響があります。
また現在、住宅ローンを組む方の7割が変動金利を選択してますから、変動金利で住宅ローンを利用している人も、金利の今後の動向について気にされていています。
直近の日銀総裁の発言
日本銀行の植田総裁の直近の発言からご紹介します。
11月21日に都内で開かれた「パリ・ユーロプラスファイナンシャル・フォーラム2024」の質疑応答で、植田総裁は英語で答えた内容として、「現時点で会合の結果を予測するのは不可能だ」と話されその上で、次回の金融政策決定会合が開かれる12月に向けて「まだ1カ月程度ある。それまでの期間に非常に多くのデータや情報が利用可能となるだろう」と述べています。
この発言を受け日銀ウオッチャーの多くは、日銀に利上げを促す最大の要因は円安だとみていて、為替市場ではここ数週間で円安が進み、11月24日現在で1ドル154円77銭の状況で、輸入物価の上昇によるインフレ圧力が高まっています。
今年7月の追加利上げは、一部の投資家にとって予想外の決定となり、8月の市場では一時急速に円高になったり、株価が大きく下落したりと混乱につながった一因とみられていました。
8月の混乱を踏まえ、「前もって追加利上げを匂わすシグナルを出すのでは?」と予測されていて、シグナルを発するのであれば、11月18日の名古屋市での講演の可能性が高いとみられていました。
この講演で総裁は、政策判断の鍵を握る注目点として、海外経済の見通しと、賃金と物価の好循環の2点を挙げています。
そのことを踏まえ利上げについては「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と答えています。
政策金利のつか利上げ予測は12月?1月?
日本の追加利上げの原因として円安が大きな要因と言えますが、アメリカのFRBパウエル議長は先週、「この2年間でインフレ率は大幅に低下。アメリカ経済は利下げを急ぐ必要があるというシグナルを発していない」と語り、慎重に利下げペースを判断する考えを示しています。
この発言から、アメリカのマーケットではFRBの利下げペースが少し鈍化するのではという憶測が広がっています。
アメリカの金利が高止まりすると、円安・ドル高が進行することになります。
背景にはトランプ次期大統領が大型減税、関税引き上げの方針を出しているだけに、インフレ再燃につながるかもしれないという思惑から、アメリカの長期金利が上昇し、円安・ドル高つながりかねません。
円安の流れが加速すると、日本では輸入品の価格上昇が高まり、12月18日~19日の金融政策決定会合で追加利上げを決めるとの観測も強くなっています。
ただ日本銀行の植田総裁がアメリカ経済に関して丁寧に点検と論じたことで、日本銀行が追加利上げを急いでないともとれます。
これからの数週間で円安が急に進行しないかぎりは12月の追加利上げはないと予測しているアナリストもいます。
12月に追加利上げはしないと予測しているアナリストも、1月に利上げするのがメインシナリオだと予測していることから、早ければ12月、場合によっては来年1月に追加利上げになり、政策金利が0.5%になりそうです。
変動金利が一段金利が上がる時期は
早ければ12月、場合によっては来年1月に追加利上げになり、政策金利が0.5%になるとすれば、変動金利の住宅ローン金利が上がるのは数ヶ月遅れの来年春に利上げになる可能性が出てきました。
来年春には変動金利の住宅ローンは0.7%程度になるかもしれません。
逆に長期固定のフラット35は、住宅支援の意味合いもあり、金利据え置きの観測も予測されていることから、変動金利と固定金利の差は縮まる可能性がでてきています。
とは言え銀行も民間企業への貸し出し先が減り、個人の住宅ローンを件数を増やしたい思惑から、銀行間の金利競争が激化し、変動金利をまだ大幅に上げない可能性もあります。
現実的にも住宅の契約数は減ってきているので、住宅ローンの新規申し込み件数は減っているようです。
一方で借り換えの割合は、若干増加している銀行が増え、住宅ローンを借りている人が金利に対してシビアになってきていると言えます。
また銀行によっては円普通預金残高の増加額に応じて住宅ローンの利息の一部を3年間、毎月現金でキャッシュバックするキャンペーンを行う銀行や、住宅ローンとセットの団体信用生命保険の金利上乗せ幅を小さくする銀行などもあり、手数料や保証料などを含め銀行もなんらかの対策をとってくることも考えれます。
しかし来年春までは、まだ半年はあるのでまだ世の中がどう動くかはわかりません。
為替相場や株価の状況で銀行の運用状況によって状況が変わってきたり、トランプ大統領の動向や、ウクライナ情勢や中東情勢など世界情勢も不透明です。
概ね12月早ければ来年1月に日本の政策金利は追加利上げの可能性が高いことから、来年春に変動金利の住宅ローンが金利上昇する可能性があることに注意しながら、備えておくというのが今の段階では妥当と言えます。
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