先日の日曜日に農地を買ってもらえないかというご相談がありました。
その方へ私が結論としてお勧めしたのはご自宅の売却です。
ご自宅の売却のアドバイスは私の人生の中でも初めての出来事です。
ドラマにありそうなその方の衝撃的な暮らし方は、今後不景気になれば同じような不動産の売却の相談は増えてくるのではないかと感じました。
人口減少の局面で、今後非常に安い不動産物件や、タダのような不動産物件が続々と出てきそうです。
そこで今回は私が体験した人生初のご自宅の売却のアドバイスの事例から、今後増えてくると思われる不動産事情をご紹介します。
この数日ろくに食べていなかった
私は香川県高松市周辺に限ってですが、無料で不動産のご紹介と、無料でご予算別の住宅会社の優秀な営業をご紹介しています。
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そんな中でご連絡をいただきご相談があったのが、農地を買って欲しいとのご相談でした。
これから住宅を検討される方に無料でアドバイスさせていただいていますが、住宅のアドバイスではなく、初老の男性から農地を買って欲しいとのご相談は初めてで、只事ではないと思っていたところ、よくよくお話しを聞いてみると、この数日ご飯をろくに食べていないとのことでした。
確かに痩せ細っています。
古い戸建て住宅にお住まいで、農地がいくつかあり、自動車を所有されています。
そのような状況で数日ご飯をろくに食べていないのは、ただ事でない事態だと思い、電気はつくのか?水道は出るのか?炊飯器はあるのか?お湯を沸かすことができるのかを聞くと、電気・水道は止まってなく、炊飯器はあり、お湯も沸かせるとのことでした。
そこで私は近くのスーパーに行ってお米5kgや缶詰やうどんやうどんの出汁など7000円くらいの食料を買いに行って、プレゼントしてあげました。
1週間程度はとりあえず生きていけるようにしてあげました。
お母さんの年金頼り
農地を売りたいとご相談があった方は、私と同じ中学校の校区の方で、その方のご年齢を聞くと、なんと私の1歳年下で57歳でした。
見た感じは痩せ細っていて、頭髪はほとんどなく、見た感じは70歳と言われたら信じるような老けた見た目です。
しかし年齢は私より若く、中学校の時に重なっていたようですが、全く知らない方です。
家族背景を聞くと、今年3月まで83歳のお母さんと暮らしていたようですが、お母さんは3月に施設に入り、今は古い戸建住宅に1人で住まれていました。
なんでお金がないのか聞いてみると、なんと25年くらい働いていないとのことでした。
生活するお金はどうしているのか聞いてみると、お母さんの年金からお母さんの施設に払う金額を支払った残りのお金で暮らしているとのことです。
その金額は6万円前後のようでした。
ご相談があったのは11月24日の日曜日だったのですが、年金の支給日は2ヶ月に一回で偶数月の15日なので、次の年金が入るのは12月15日ですから、までまだ3週間くらいは日にちがあります。
そんな状況の中でお金がなくほとんど食事をしていないというのはよっぽどの事態です。
売れるものは無い
ご自宅や農地を拝見させていたと、売却したいとご相談のあった農地は農業振興地域の農地で、農地の形状の2辺が住宅地に面してなく、農業振興地域の除外は難しく、農地転用して宅地にして売却するのは難しい農地です。
農地のまま買ってくれる人がいれば売却は可能かもしれませんが、そもそも住宅地でもないような農地で、タダでも欲しい人が現れないと思われる農地です。
お住まいの住宅には納屋もあり、納屋の中を見せてもらうと農機具などはなく、おそらく農機具は生活のために売却したのだと思われます。
テレビは売却したそうです。
他に売却できるものはないか敷き内を見ていると、小型の自動車がありました。
しかしよくよくみると車検のステッカーには2024年11月で切れるようです。車検証を見せてもらうと、11月30日で車検が切れるようです。
ご相談があったのは11月25日でしたので、あと5日で車検が切れます。
食べる食料を買うお金がないくらいですので、自動車の車検を通すことは不可能そうです。
車検が切れたら乗れなくなるものの、自動車の売却はしたくないようです。
すぐには現金化できない
ご希望の農地の売却は、宅地にできない農地を欲しがる人はなく、農業振興地域の除外申請して、宅地にしようとすれば、近隣の農地を所有している人数軒を巻き込んで、農業振興地域を除外して分譲地にすれば宅地にできる可能性が出てきます。
それでも絶対に宅地にできるとは言い切れず、宅地にできる可能性があるという状況です。もし宅地になったとしても1年以上はかかってしまいます。
もし農地を買ってあげたとしても、契約の手付金を数万円お渡しできても、宅地にならない限り所有権移転ができないため土地代金の大半を支払うことはできません。
1年を超えてこの人は食べていけるのだろうかと思いました。
また仮に手間暇かけて宅地になったとしても、造成費用が相当かかってしまうので、タダのような金額で買い取らないと、買い取っても私が負債を抱えてしまいます。
しかし宅地の自宅はまだ売却できると思います。
生活保護を提案
57歳なのに25年仕事をしていないということは、32歳から仕事をしていないということになります。
おそらくずっと独身か、離婚をされていて現在は1人で、お母さんが施設に入るまでは、今でいう「引きこもり」だったのではないかと思います。
83歳のお母さんは施設に入っていますが、一度施設に入った方がまたご自宅に戻れるようになるのは稀です。
おそらく自宅で過ごすのはこれからも1人だと思います。
ご本人は25年仕事をしてなく、将来の年金は期待できないので、お母さんが死亡してしまうと、お母さんの年金に頼った生活なので、収入源が絶たれてしまいます。
農地を売却しても契約の際に払うことができるお金は代金の10%いないと宅建業法で決まっているので、数万円しかお渡しできず、残代金を支払うことができるのは1年以上先です。
おそらく生活できないと思われます。
そこで私は生活保護を提案しました。
生活保護を受けるには財産があれば、基本的に生活保護は受けれません。
そこで自宅と農地を一括して売却することをお勧めした。
57歳であればまだまだ生きていくお金が必要です。
私は最低でも70歳まで仕事をするつもりなので、仕事をするのが一番良いですが、25年仕事をしてなく、仕事はできないとのことでした。
また、生活保護を受けると自動車が所有できないとのことで、生活保護も拒んでいます。
自動車はどうしても必要であれば生活保護でも所有できますが、申請が通るかどうかわかりません。
生活保護を受けるため自宅の売却をお勧めしましたが、自動車の所有ができなくなるのが嫌で売却しないということなので、もし自宅を売却することになればまた連絡くださいということで別れました。
日曜日にプレゼントした7000円分の食料が途絶えた頃には、自動車は車検切れになり、お金に困り考えが変わり、また私に連絡があるかもしれません。
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