2024年11月21日に、投資用マンションを居住用と偽って、金融機関に低金利の住宅ローン融資をさせたとして、警視庁暴力団対策課は詐欺の疑いで、不動産業の男3人を再逮捕したと発表しました。
いずれも逮捕は5回目で、警視庁暴力団対策課は認否を明らかにしていません。
住宅ローンの融資の偽装は会社員などが行っていますが、不動産業者側が5回目の再逮捕ということは、不動産業者の再犯性を感じます。
不動産詐欺のターゲットとなるカモのリスト6600人を使い、12の金融機関から計120人に対する融資金約33億8千万円をだまし取ったされています。
このスキームは普通の人が不動産業者に比べて不動産取引の経験が圧倒的に少ないことを悪用し、情報格差を利用した犯罪です。
どのような手口なのかを解説していきます。
不動産投資詐欺の手口
再逮捕された不動産業の男3人の容疑は、3人を含むグループは20~30代を対象に、秋葉原駅や上野駅周辺で街頭アンケートを実施し、住所や資産状況などの個人情報を聞き出して6600人分の名簿を作成し、ローンで物件を購入する人を勧誘していました。
一例では令和4年12月~5年2月に、20代男性に不動産投資の目的を隠して住宅ローンを申し込ませ、神奈川県内の金融機関から2890万円をだまし取ったようです。
この金融機関から融資を受けた20代男性も書類送検する方針です。
これまでアンケートなどで得たとみられる約6600人分の個人情報のリストは押収されています。
2019年4月~2024年5月までに12の金融機関から120件、計33億8000万円の住宅ローン融資金を騙し取っています。
33億8000万円を120件で割ると2800万円程度なので、1棟売りのアパートや1棟売りのマンションではなく、都心部の区分所有の中古のワンルームマンションと思われます。
中古であれば不動産業者からすれば価格をなんとでも操作可能なので、物件価格自体でも不動産業者は儲けを出しているのではないかと思います。
サラリーマンが騙されやすい
価格が安い、フルローンができるといった理由から、サラリーマンを中心に人気のあるワンルームマンション投資は、高額な一棟売りのアパートや1棟売りのマンションには手が出せなくても、手軽に資産を増やせる方法として多くの方が取り組んでいます。
価格の安さやフルローンができるという、一見魅力的に見えるワンルームマンション投資には、大きな落とし穴があります。
▪️空室で家賃収入ゼロになりやすい
▪️家賃保証の内容が想定と違う
▪️収支が赤字の重大さに気づきにくい
▪️保険代わりとしては不十分
▪️節税効果は小さい
などデメリットが大きくお勧めしません。
区分マンションはその構造上減価償却費をとりづらいため、節税効果は期待できません。
逆にいうと、減価償却費がとりづらいにも関わらず会計上赤字をつくれてしまうということは、収益性が低すぎるといえます。ですから区分マンションの投資自体をお勧めできません。
住宅ローン不正融資は詐欺罪
住宅ローンは利用目的を自ら居住する住宅の取得に限定し、低金利で貸付しているローンです。
▪️自らは居住するつもりがなく、投資目的で住宅を取得する
▪️融資住宅に自ら居住せずに、事務所又は店舗として利用する
▪️自動車の購入費用など住宅取得費以外の費用を上乗せして申し込む
▪️消費者ローンなどの返済に充てる費用を上乗せして申し込む俗にいう「おまとめローン」
などは住宅ローンの不正利用です。
このような不適正な目的で融資を受けることは、ローン契約違反であり、融資の残債務について一括返済請求されてしまいます。
たとえ手続を事業者任せにしていたとしても、虚偽の内容で融資を受けることは詐欺罪で、借りた人自身にも責任を問われることになります。
特によく利用されがちなのが、住宅支援機構の住宅ローンの「フラット35」です。
騙しのトーク
今回の不動産詐欺がどのようなやり取りで摘発されたのかは分かりませんが、住宅支援機構の住宅ローンのフラット35の公式サイトで紹介されていた、住宅ローンの不正融資の手口の事例をいくつかご紹介します。
内定をもらった会社から、不動産を持っていないと信用できないから、採用する代わりに住宅ローンを組んで投資用マンションを買うように強要され、挙げ句の果てに違う会社の採用試験を受けさせられ、結局住宅ローンだけが残ったケース
サブリースなので家賃収入は安心と言われて、投資物件を購入したが、購入後半年過ぎた頃から家賃の振込が途絶えがちになり、ここ 2ヶ月はまったく振込がなくなり、売主や仲介業者とも連絡が取れなくなり、自分が騙されたことに気が付いたケース
が紹介されていました。
気をつける不動産業者の誘いの言葉として、
▪️返済中のカードローンや車の借り入れをフラット35で一本化しましょう
▪️契約書を2つ作成しましょう。みんなやってるから大丈夫
▪️フラット35は投資用物件も利用できます
▪️金融機関には自己居住用と説明すればOK
▪️収入が少ないのはうまくやるからお任せください
▪️手続きは全てお手伝いしますから、勝手に金融機関と話をしないでください
などと言われたら怪しいと思ってください。
そもそも住宅ローンで投資用物件は利用できません。
虚偽の内容で借入申込みを行い、融資を受けることは詐欺行為です。
「悪徳事業者に騙された」では済まされません。
責任を問われるのは住宅ローンを借りた人です。
不動産投資は株式投資よりリターンも大きい
不動産投資は調査したり、ニュースをチエックしたり、聞き込みが必要だったりと、難易度は高い投資と言えますが、一般的なイメージでも、不動産屋さんは葬りが良いイメージがある通り、コツを掴めば巨額のリターンが得られる投資です。
株式投資だと事前に情報をしているとインサイダー取引になりますが、不動産投資は駅ができるとか道路が開通するとか、大型商業施設ができるとかは、特に隠された情報でなく、株式投資に比べたら情報が得られやすく、近年だと東京の1億円のタワマンを数年所有して2億円で売り抜けるような、数年で1億円を稼ぐこともできたような、株式投資では得られないようなダイナミックなリターンが村勢するのが、不動産投資です。
その分、悪質なワンルームマンション投資のような、怪しい情報による詐欺も横行しやすく、悪質な詐欺で稼ぐ人もいるのが不動産投資の現状です。
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