2021年は約8割が工期変更・金額変更

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2021年はコロナウイルスの影響から世界的な建築ラッシュになり、木材不足によるウッドショック、半導体不足や海外の工場閉鎖による住宅設備の納期遅延などが起こりました。

長年、建築業界で仕事をしていますが、ここまで急激な変化を経験したことがありませんでした。

お客様の立場からすると、工期が変更に’なったり、金額が途中で変更になるのは困ります。そんな困る工期変更や金額変更が2021年で約8割起こりました。

今回は新建ハウジング調べのデーターから新築注文住宅で工期変更や木材・建材の値上げ時の住宅会社の対応をご紹介します。

2021年新築注文住宅の工期変更や木材・建材の値上げ時の住宅会社の対応

■口頭で説明を受け、口頭で合意の上で工期の再設定や見積りをやり直した43.2%

■使う建材や設備などの変更をお願いされた32.4%

■値上げ分を住宅会社がもった18.9%

■一方的に工期や金額、仕様変更などを決められた18.9%

■口頭で説明を受けた上で、合意書(契約書)を交わし、工期の再設定や見積りなどをやり直した16.2%

■契約を断られたり、先延ばしされた10.8%

■その他8.1%

値上げ分を住宅会社がもったという会社が18.9%ということは、逆に約8割が工期や見積りのやり直しがあったということになります。

契約後の工期変更や金額変更は計画が大きく狂う

2021年は約8割が工期変更や金額変更を余儀なくされるということは、お客様からしても計画が大きく狂ってしまいます。

工期変更は着工や完成が遅くなる変更になり、金額変更は金額が高くなる変更ということです。

■工期変更で着工や完成が遅れると、住宅ローンやつなぎ融資、家賃に影響が出る可能性

■金額変更で金額が高くなると、住宅ローン・自己資金の増額、家具家電・家賃に影響が出る可能性

契約後に工期変更や金額変更になると当初の計画が大きく狂ってしまいます。

契約後からマイナス評価がはじまる

■契約後に住宅会社に対してマイナス評価になりがち

お客様は満足の住宅の完成が一番の興味なのに対して、住宅会社の一番の興味は契約が一番の興味の場合が多い。そこにギャップが。

お客様は住宅完成までワクワク感が続くのに、住宅会社は契約後にお客様に対して興味が薄れていくと、契約後の打ち合わせや建築中、そのギャップから徐々に住宅会社に対してマイナス評価になりがちです。

ただでさえ住宅会社に対してマイナス評価になりがちな上に、工事が遅延する工期変更や、金額が高くなる金額変更は、住宅会社に対して不満が高まります。

住宅価格の値上げに対して様々な対応

■ウッドショックで坪あたり4万円から5万円程度の原価が上昇

■原価上昇に対して住宅会社ごとに対応の違い

ウッドショックを中心に急激に住宅価格が値上げしています。現状で坪あたり4万円から5万円程度の原価が上昇しています。売価に直すと消費税込みで坪あたり6万円から7万円程度の値上げになります。仮に40坪で坪6万円の値上げになると240万円になり、お客様からすると結構の値上げになり、住宅会社からすると160万円程度の原価が上がった金額をお客様に転嫁しているのが現状です。

2021年は5月頃から徐々に値段が上がり、年末までには200万円以上の値上げになっています。半年で200万円以上の値上げは急激な値上げです。普段の販売価格が坪あたり80万円程度の住宅会社で40坪の住宅が3200万円の場合、ウッドショックで200万円値上げして3400万円になった場合は1.06倍の値上げということになりますが、普段の販売価格が坪あたり40万円程度の住宅会社で40坪の住宅が1600万円の場合、ウッドショックで200万円値上げして1800万円になった場合は1.12倍の値上げになるために、坪単価が安い住宅会社の方が値上げ幅が倍近く高く感じてしまいます。更にお客様の3000万円を超える住宅を建築するお客様に比べて、1600万円程度の住宅を建築されるお客様の方が、200万円以上の値上げに対する金額のダメージが大きい場合が多いです。家賃並みに住宅ローンの支払いを抑えたい人や、所得の面で借入限度額が限界に近い人にとっては200万円以上の値上げはかなり厳しくなってきます。住宅の取得自体をあきらめざるをえない人も出てきます。

値上げ分をもったという住宅会社も18.9%あり、私が現在勤めている会社も値上げをギリギリまで値上げしませんでした。9月末までは値上げをせずに、10月から原価が上がった半分が値上げになり、更に2022年1月から更に値上げしました。多くの住宅会社では5月頃から値上げしてし、そこから徐々に年末まで数回値上げしている住宅会社が多いです。

多くの住宅会社では、契約時点の請負金額でお引き渡しまで金額をあげない住宅会社がほとんどだと思っていましたが、今回の調査結果では8割の住宅会社で、契約後に工期の変更や金額の変更を行っていることがわかりました。工期の変更は木材不足で調達が難しく、契約時の契約工期で工事ができず工期変更をするのは理解できますが、意外と多くの住宅会社では金額の増額の変更をお客様にお願いしていたのはビックリしました。お客様の立場で一番困るのは契約後の金額変更だと思います。

昨年相談を受けたお客様で、他社で契約済のお客様から200万円以上の値上げを要求され、自己資金を増額することも、住宅ローンの借入を増額することもできずに困っているお客様がいらっしゃいました。年間の着工数が少ない住宅会社にとって、半年で坪あたりの原価が4万円から6万円程度値上げしてしまうと、工事をしてもほとんど利益が出なくなってしまうためにお客様に原価の値上げ分をお願いしないと会社としてやっていけないのは十分わかります。かといってお客様の立場からすると、200万円以上の値上げになると建築することはできません。調査の中で契約を断られたり、先延ばしされた人が10.8%という人がデータで出ていましたが、契約後に値上げを伝える会社が多くある中、資金計画でいっぱいいっぱいの人には取り敢えず契約するのではなく、断る会社の方がお客様のためになると思います。

ウッドショックの値上げに加え、2022年は更に建材の値上げで住宅の価格は値上がりしそうです。契約後に値上げの可能性があるのかどうかは、よくよく契約前に確認して契約されることをお勧めします。

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