ロシア発【合板ショック】日本政府の支援策

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2021年に世界的な建築ラッシュで木材価格が高騰したウッドショックがおさまらず長期化する中、ウッドショックに引き続き今度はロシアを震源地にロシア発の合板ショックが襲いかかっています。

合板の価格がこれから本格的に値上がりになりそうな状況と、政府の対応について今回ご紹介します。

入ってこないロシア材

ウクライナ情勢で西側諸国によるロシアに対いする経済制裁が発端となり、3月9日にロシア政府が一部の木材の輸出禁止措置を発表しました。

ロシア政府は日本を含む非友好国向けの丸太、単板、チップの輸出を2022年末まで禁止するという内容でした。

その後、3月16日に木材業界の専門紙が合板工場の声としてこれまでの工場の稼働よりも2割程度の減産になる可能性があると報じ関係者に衝撃が広がりました。

これをきっかけに木材業界の中で合板が手に入りにくくなるとの懸念が一気に広がり、卸会社やメーカーに注文が殺到しました。

集成材などの製材品は禁止措置の対象外になっていますが、その材料のロシア産の単板はすでに入ってこなくなっている現況です。

日本の対応

現実問題としてロシア産単板の輸入が止まったいま、合板メーカーはロシア産の単板にかわる代替品を探さなければならない状況です。

ロシア産単板の輸入停止について、合板需給への影響は限定的と見る向きもあり、合板の原料となる単板、さらにその原料となる丸太は国産化が進み、林野庁によれば、国内で流通している合板原料のうち、ロシア産材が占める割合は2%程度とのことです。

ロシア産単板が入らなくても、国産のカラ松、スギ、ヒノキ材をはじめ、アメリカ産の米松材などで代替することができます。

しかしロシア産の木材は性能として優れています

夏が短いシベリアの平原でゆっくりと育った樹木は年輪がつまっており、ロシア産の単板は反り返りがなく強度の高いのが特徴です。

ロシア産の材料の調達が難しくなった現在は、強度で見劣りするもののJAS規格の強度は満たした代替品で今後対応していくことになってきます。

ただしコンパネ向け合板の中には強度の高いロシア材で型式認定をとっている製品もあり、国内産の原料では代替できず建築工事に影響が出る可能性も一部では出てきています

合板の価格高騰

今後、材料の調達が難しくなってくる問題もありますが、合板価格の方が更に心配です。

農林水産省の木材価格統計では、2021年3月公表分で1枚当たり1230円だった普通合板の価格は、2022年2月に1980円まで高騰し、3月には2000円台となりました。

すでに合板価格はウクライナ情勢の前から高騰していました。

原料となる原木の値上がりに加え、石油価格の高騰で接着剤も値上がりし、2021年4月からじわじわ価格が上がり続けています。

その状況でクライナ情勢の影響がプラスされて更に価格が上がりそうな見込みでする。

合板メーカー各社は6月まで大量の受注を抱えているで、合板の原材料である東北産カラ松の丸太などはメーカーの間で奪い合いになっています。

東北の合板メーカー関係者によれば、2月時点で1立方メートルあたり2万6000円程度だったカラ松の値段は、4月に入り3万円台まで高騰している状況です。

その後、ウクライナ情勢をめぐり、日本政府は4月12日にアルコール飲料や木材など38品目のロシアからの輸入を4月19日から禁止する追加制裁措置を発表しました。

木材には、丸太や単板、チップなどが含まれています。

政府の対策

政府はこのところの物価上昇を踏まえて緊急対策を今月中に取りまとめる方針です。

飼料や木材の輸入価格高騰の影響を受けている畜産業者や住宅メーカーへの支援策を盛り込む方針です。

政府が検討している緊急対策は、ウクライナ情勢に伴うトウモロコシなど輸入飼料の価格高騰について、畜産業者の購入費用を補填している基金を積み増すことと、ロシアへの経済制裁などで輸入木材が値上がりしていることから、住宅メーカーが国産材に切り替える際には、必要な費用の一部を支援することにしています。

政府は、緊急対策の財源として今年度の予備費を活用する方針で、今月中の取りまとめに向け調整を急いでいます。

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