【リビング階段】家族の変化を考えて採用すべし!【メリット・デメリット】

間取り

お客様からご要望をお聞きして間取りを作成させていただく際に、2階建て以上の建物の場合階段は重要です。

階段で建築コスト面での間取りの効率や、逆に階段の吹き抜け部を利用した空間の広がりを演出することもできたり、階段の位置で災害の時の避難経路や温熱環境や家族の動線などの暮らし方が変わリます。

今回は階段の機能のうち、暮らし方に大きく影響がでるリビング階段について解説します。

リビング階段とは

リビング階段とは、リビングを経由して2階に上がる階段のことですが、リビングではなくダイニングやキッチンの周辺から2階に上がるパターンでも一般的にリビング階段と読んでいます。

ダイニングにつながるリビング階段

リビング階段にしない場合は、普通は玄関から帰ってきて、そのまま2階に上がれる階段がほとんでですが、稀に大きな建物で、玄関はお客様用で、家族は家族用の出入り口やビルトインガレージを通って2階に上がる階段を設けたり、1階が個室で2階がリビングのような間取りも時々あります。

ただほとんどの住宅は玄関が1ヶ所で1階がリビングで2階が居室の間取りがスタンダードなので、1階のホールに階段を設けるか、LDKに階段を設けることになります。

「1階のホールにある階段」と、「LDKにあるリビング階段」では、家族の動線が変わります。

LDKに儲けるリビング階段は昭和の住宅や真壁建築の和風住宅には少なく、ある程度住宅の省エネ性能が確保できるようになって普及した階段です。

リビング階段のメリット

リビング階段のメリットは、

  • 家族とのコミニケーションが取りやすい
  • 吹き抜けと階段を併設させて大空間にするとデザイン性が高くなり解放感がでる
  • 高気密高断熱の建物だと階段の吹き抜けを通して1階と2階が繋がっているため建物全体の温度差が少なくなる
  • 階段につながる廊下のスペースを省き最小限で間取りができる

お客様がリビング階段にしたいというリクエストのほとんどは、家族のコミニケーションを重視したい場合か、デザインや広がりを持たせたいかのどちらかで、間取りを作成する設計者がリビング階段をお勧めするケースは、敷地の制限があったりコストダウンするために、階段につながる廊下をなくしてリビングから直接2階にアクセスできるように間取りを作りたい時です。

LDKに併設した階段

リビング階段のデメリット

リビング階段のデメリット

  • それぞれの階の音や匂いがしてしまいがち
  • 家具のレイアウトによってはテレビの前を横切らないと2階に行けないこと
  • 省エネ性が落ちる
  • 家族の変化で不便に感じることがあるかもしれない
TVの前を横切って2階にいく階段

テレビが階段の近くや洗面脱衣室の近くにあると、階段の上がり下がりの音や、洗面化粧台で髪を乾かすドライヤーの音が気になり、テレビのボリュームを大きくしがちで更に2階に音が伝わりがちです。

省エネ性が落ちることに関しては、どうしても階段空間は吹き抜けになっているため、冬の暖房の暖かい空気が2階に上がってしまいがちで、省エネ効果が出にくいところです。シーリングファンやサーキュレーターで空気を循環させると緩和されます。

シーリングファン

私はとある全国展開の住宅会社で働いていた時、省エネ等級4の建物で高性能グラスウールを使っていましたが、リビング階段は寒くて後悔したと言われたことがあります。

リビング階段はやはり高気密高断熱が必須です。現在は違う会社で働いていますが、私が担当している現在建築中の現場は大きな吹き抜け空間に階段の途中にスキップフロアのある間取りで建築中ですが、今年の冬の寒い時期にお客様に温熱環境を確認してもらい大空間の吹き抜けを採用しました。高気密高断熱で大きな吹き抜け空間があると、冷暖房費用はかかりますが、1階・2階の温度差がない建物になります。

スキップフロアのあるリビング階段
スキップフロアのあるリビング階段

家族の変化を考えてリビング階段を採用すべし!

気をつけるのは家族の変化です。

子供のコミニケーション重視やデザイン性重視でリビング階段を採用した時は、家族大勢で暮らしている時は快適でコミニケーションを取りやすいですが、将来子供が巣立って2階を使わなくなったら単に大空間が残り光熱費が嵩むだけです。

逆に子供が独立せずに30代・40代と年を重ねて独身のままで同居することになると煩わしく感じるかもしれません。今後景気が更に悪区なっていくと、同居率が高くなると思います。独立して暮らすより、食事や光熱費や家賃の面で同居が暮らしやすいからです。

独身だったらまだ我慢できますが、結婚して同居することになった場合、配偶者の立場からするとリビングでくつろぐ相手の両親とコミニケーションを取って2階に上がるのが苦痛になるかもしれません。

また子供が成長期だとしても、反抗期には家族とのコミニケーションが嫌なので、子供が家に寄り付かずにいろんな家を渡り歩く可能性もあります。リビング階段で親が子供を監視していると子供が受け取ったら、子供の立場だと信用されていないと反抗する可能性もあります。うちの子は反抗期がないまま大学生になってしまいましたが、それはそれで少々心配です。

家族はそれぞれの家庭で違うし、一緒に住む家族もお互いに年を取ると考え方が変わります。

私個人的にはリビングでくつろいでいる時に家族が友達を連れてくるたびに愛想を振る舞うのが厄介でリビング階段は避けたい派です。

ただデザイン性重視でリビング階段はありだと思います。

最近の建物は長期優良住宅の性能だと60年以上持つ建物なので、家族の変化を考えたリビング階段を選択してください。

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