【家賃値上げ拒否】手順と解決策【徹底解説】

不動産

長年デフレでモノの価格は下がっていましたが、新型コロナウイルスやウクライナ情勢がキッカケでモノの価格が上がり始めました。また今年の春闘で大手企業は賃上げの回答が多く、中小企業も6割が賃上げというニュースが出ていました。明らかに物価高騰や人手不足から賃上げの流れになっています。物価が上がったり、所得が上がりだすと、賃貸に住んでいる方は家賃の値上げが気になると思います。賃貸物件の家賃は固定で、値上がりすることはないと考えている人もいらっしゃるかもしれませんが、しかし、残念ながら、家賃は変わらないわけではなく、現在の状況ですと値上げされることもあります。そこで今回は賃貸住宅を借りている人に向けた家賃の値上げを告げられた時の対処法と、その後の選択肢をまとめてみます。

家賃が上がる3つの理由

賃貸契約では2年程度の更新の契約になっている方が多いと思います。契約更新の時に家賃の値上げを告げられることが多いと思います。家賃は、一定の条件にあてはまる場合に値上げすることができると借地借家法という法律にも明記されています。この一定の条件とは3つの理由、あるいはそれらと同じような事情がある場合を指します。

家賃が上がる3つの理由

  • 当該物件の固定資産税が値上がりした場合
  • 物価が上がった場合
  • 周辺相場の家賃と合わなくなった場合

現在の日本は特に今年に入ってモノの値段が上がっているので家賃の値上げを言われかねない状況です。家賃の値上げはきちんと手続きを経ていれば違法ではありません。

家賃の値上げを拒否できない事例

値上げを拒否することが可能な場合があります。ただし値上げ拒否できない場合があるので、まずは一番重要な値上げ拒否できない事例からご紹介します。

家賃の値上げ拒否できない事例

  • 更新ごとに家賃を値上げするというような特約

値上げを拒否できるのかまず最初にすべきことは契約書のチェックです。更新ごとに家賃を値上げするというような特約がないか確認してください。値上げできるような特約があった場合は値上げは契約に基づく正当なものであるため、退去したくなければ受け入れるしかありません。逆に言えばそのような特約が無ければ値上げを拒否して構いませんし、退去する必要もありません。契約内容の変更は双方の合意が必要なので、一方的に家賃を上げることはできないように借地借家法で定められています。

大家さんと合意が得られない場合の手順

冷静に対応

冷静に対応すれば大家さんから条件を譲歩してもらえたり、家賃の値上げを回避できたりすることもあります。感情的になってしまうと不利になってしまうこともあるために、「できれば気に入っているので、できるだけこのまま住み続けたいのですが、家賃はそのままでは難しいでしょうか?」というような態度の方が、大家側からしても退去されるリスクを考えると値上げするより住み続けてもらった方が良いという判断になるかもしれないので、退去の可能性を少し匂わしながら最初は穏やかに交渉するとすんなり値上げせずに住んでしまう場合もあります。

家賃値上げの理由の確認

大家側が家賃の値上げをしなければならなくなった事情をきちんと聞いてみてくださいそのうえで、値上げの理由は正当か、納得できるかを判断することができます。理由を聞く際には、値上げの根拠となる資料やデータを提示してもらいます。値上げが正当かどうかの判断できるようになってきます。例えば固定資産税が上がったことが値上げの理由なら数年分の資料を提示してもらうなど、明確な根拠を示してもらえるように提案してみてください。明確な理由を求めると資料を準備するのが大変になったり、実際は固定資産税は上がっていなかったりなどの理由で、家賃はそのままになることもあります。

近隣の家賃相場を調べる

近隣の家賃相場の資料を出してきて、賃料の値上げの要求が続くかもしれません。借りている側も現在住んでいる物件の家賃が周辺の類似物件と比べて高いのか安いのかを確認しておくと交渉しやすくなります。今はインターネットを使って賃貸物件検索サイトで、周辺の似た条件の物件の家賃がいくらなのかが簡単に調べれます。その際、築年数や間取り、駅からの距離、建物の構造が木造か鉄筋コンクリート造かなど、自分の借りている部屋の条件になるべく近いもので確認することが重要です。また、物件の人気度も値上げ交渉のポイントとなり入居希望者が多い物件では、もし値上げに納得できずに退去する人がいたとしてもすぐに次の入居者が決まるので強気な対応をされる場合があるからです。自分が住んでいる物件で他に空き部屋が出ていないか?空き部屋が出ていたら何室空き部屋か?調べます。逆に入居者が少ない物件だとスムーズに交渉が進んでいくこともあります。

消費生活相談窓口に問い合わせ

各自治体の消費生活相談窓口に問い合わせる手もあります。法律に精通した人に相談することで、話し合いの突破口となる可能性が高くなります。

落とし所を提案する

  • 家賃の値上げ幅を変えてもらう
  • 値上げ時期の後ろ倒ししてもらう
  • エアコンなどの設備の見直し、
  • 更新手数料や退去費用の値下げ

などが考えれます。

調停

ここまでしても上手くまとまらない場合は調停に進みます。裁判所における調停は、当事者同士だけでは自主的な解決が望めない場合に、裁判官と一般市民から選ばれた調停委員などが間に入り、当事者の自主的な紛争解決の手助けをしてくれる制度です。大家、入居者、そして調停委員の三者で話し合いを持つ制度で、ここで妥協点を見い出していきます。

裁判

ここまで交渉しても落とし所が見つからなければ裁判になりますが、裁判は時間もコストもかかるので避けたいところです。

法定更新

大家さんとの合意が得られず、家賃の値上げを拒否している状態が続き契約の期間が終了したとしても、契約は「法定更新」されて今までとほぼ同一条件の契約が継続するため心配は不要です。「法定更新」については借地借家法の第26条1項で定められていて、期間に定めのない契約となります。入居者が申し出ない限り解約できず、「契約の更新」という概念がなくなるので、賃貸借契約に明記されていない限り更新料も発生しません。入居者優位な契約です。

家賃は払い続ける

家賃交渉が合意しないからと言って家賃の支払いをしなくなるのは後々不利になります。家賃不払いが続くと退去しなければなくなるからです。家賃の値上げを拒否すると大家側は対抗手段として信頼関係が損なわれたことを理由にして解約を言い渡したり、家賃の受け取りを拒否したりすることがあります。契約の中で値上げの特約がない限り応じる必要はありませんが、家賃の受け取りを拒否されたからといって家賃を払わないでいると滞納扱いとなり、滞納を理由に退去させられるおそれがあります。

大家さんが家賃を受け取らない場合は「供託」

大家側が家賃を受け取らない時は、「供託」という制度を使って家賃を払うことができます。居住地を管轄する裁判所に経緯を説明し、家賃と同額の金銭を納めることで滞納状態を回避することができます。借地借家法32条2項では賃料増額の請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の賃料を支払うことをもって足りるとしています。

家賃値上げが買う低した場合の利息

家賃を払いるづけるか供託しないと不利になるので支払いを続ける必要はありますが、調停や判決が確定して家賃の値上げが決定した場合には、“差額+年10%の利息”を付けて支払わなければならないということになるので注意が必要です。

引っ越しを検討

大家側と揉めると住みずらくなってしまうことも考えれます。値上げ交渉が賃貸物件の更新時の場合、納得できなければ引越しをするのも選択肢で検討します。更新時には家賃1ヶ月~2ヶ月分の更新料がかかるのが一般的で、さらに家賃が上がるとなると負担も増えてしまうので、新たに部屋を探して引越してしまうという選択もおすすめです。

家賃の値上げを突然求められれば、誰でも混乱してしまいますが、対応次第では値上げを回避できる場合もあるので冷静に落ち着いて対応することが大切です。家賃交渉がまとまらない場合も、現行の家賃を支払っておけば急な退去に応じる必要がないことがわかっていれば、焦らずに対処することができるはずです。家賃の値上げを求められても、冷静な対処を心がけてください。

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