2024年11月29日の日本経済新聞に「超省エネ住宅」区分新設、政府来年度新築に160万円補助という記事が掲載されていました。
現在の子育てエコホーム支援事業の2025年度版の住宅補助金のようです。
現在の子育てエコホーム支援事業は、18歳未満の子を有する子育て世帯か、夫婦のいずれかが39歳以下の世帯が補助金の対象でしたが、2025年度の超省エネ住宅の補助金の対象者は全世帯になるようです。
ただ国土交通省と環境省が新たに設ける「グリーントランスフォーメーション志向型住宅」という超省エネ住宅の基準に対応する必要があり、今までの長期優良住宅やZEH水準住宅に対応した住宅の一戸あたりの補助金は減額されるようです。
そこで今回は日本経済新聞に掲載された「超省エネ住宅」区分新設と、明らかになった2025年度の補助金についてご紹介します。
補助金の目的と求める性能
政府は従来タイプ以上に省エネ性能が高い住宅の普及を促すために、断熱性能が優れ、太陽光パネルなど再生可能エネルギー設備の整った住宅に1戸あたり160万円を支援し、2025年度から申請を受け付けるとされています。
新たに国土交通省と環境省が「グリーントランスフォーメーション志向型住宅」という超省エネ住宅の区分を設け、補助の対象にします。
2024年度まではエネルギー消費を大きく減らすZEH水準の住宅を補助の対象とし、ZEH水準は従来型の住宅に比べエネルギー消費量を20%削減できることが条件にしていましたが、新しいグリーントランスフォーメーション志向型住宅は従来型の住宅に比べエネルギー消費量を35%以上削減にまで住宅性能を引き上げています。
同時にグリーントランスフォーメーション志向型住宅ではZEH水準では必須でなかった再生可能エネルギーの活用で、消費エネルギーを実施るゼロにすることを求めています。
グリーントランスフォーメーション志向型住宅はZEH水準住宅よりも性能が高い断熱材や、効率の良い給湯器などが必要になり、再生可能エネルギー活用のため、太陽光発電パネルや蓄電池なども備えなければならないとされています。
2025年度・住宅補助金額
グリーントランスフォーメーション志向型住宅への2025年度補助金は、居住する世帯の年齢や世帯構成を問わず、戸建住宅に限らず、分譲住宅や賃貸住宅も補助の対象として、補助金額は160万円になります。
ZEH水準と長期優良住宅の水準の住宅の場合は、2024年度はZEH住宅が補助金が80万円で、長期優良住宅は100万円でしたが、2025年度はZEH住宅が40万円、長期優良住宅の補助金が80万円に引き下げられます。ただし、グリーントランスフォーメーション志向型住宅の対象は年齢や世帯構成を問いませんが、2025年度もZEH住宅の補助金と長期優良住宅の補助金は18歳未満の子を有する子育て世帯か、夫婦のいずれかが39歳以下の世帯が補助金の対象で2024年度と同条件です。
実質はZEH住宅の補助金と長期優良住宅の補助金は、金額が減ったことになります。
ただし、ZEH住宅・長期優良住宅の場合は住んでいた住宅を解体したうえで建て替える場合は、20万円が上乗せできます。
つまり解体を伴いZEH住宅を建築する場合の補助金は60万円になり、解体を伴い長期優良住宅を建築する場合の補助金は100万円になります。
既存の住宅をリフォームした場合の補助金は補助額が引き上げられるようですが、日本経済新聞の記事では補助額はわかりませんでした。
補助金予算と補助金終了予想
新たに政府が後押しするグリーントランスフォーメーション志向型住宅のために、GX経済移行債500億円分が財源として活用されます。
2025年の住宅の補助金名は「子育てグリーン性能住宅支援事業」となり、全体で補正予算案に2250億円が計上されます。
「子育てエコホーム支援事業」の予算は新築が 2,100億円、リフォームが400億円でしたので、「新しい子育てグリーン性能住宅支援事」の予算の2250億円の中にリフォームの予算も含まれているとしたら、若干予算は削減されていると言えます。
現在の「子育てエコホーム支援事業」の2024年11月29日現在の予算消化状況は新築住宅が80%で、リフォームは77%まで予算が消化されていることを考えると、12月中旬には今年度の予算は終わりそうで、2025年度の「子育てグリーン性能住宅支援事業」は2025年12月前後には予算が終了するのではないかと予測されます。
160万円の補助金を受けるためには大幅なコストアップ
2025年度の補助金は解体工事がないとして、長期優良住宅が80万円、グリーントランスフォーメーション志向住宅が160万円の補助金でしたら、性能の違いによる補助金の差は80万円ですが、グリーントランスフォーメーション志向型住宅の超省エネ住宅にするためのコストアップや、蓄電池などを備えなければならないことを考えると、コストの増加分が大きすぎて、差額の80万円では収まりそうにありません。
建物の規模にもよりますが、太陽光発電や蓄電池を計画していない長期優良住宅に比べると、グリーントランスフォーメーション志向型住宅にするには300万円以上はコストアップになってしまいそうです。
建築予定地が日当たりが悪いなど、太陽光発電の効率の悪い地域では、太陽光発電を設置しない住宅も考えられるので、断熱性能は上げるが太陽光発電は採用しないZEHオリエンテッドのような、日射の制限のある地域にもなんらかの優遇があるのか詳細がわかれば確認したいです。
グリーントランスフォーメーション志向型住宅の補助金額をもう少し大きな補助額にしてくれたら、超省エネ住宅を取り組む人が増え、普及が進むのではないかと思いました。
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