東京都内で戸建て住宅の価格が下落基調になっているという記事が、2024年12月9日の日本経済新聞から報道されていました。
庶民感覚からすると、住宅ローン金利は今年2024年から上昇トレンドに入ってしまい、コロナ禍以降住宅の建築費は上がる一方でしたので、戸建て住宅の価格が下落傾向になると、少しでも住宅が買いやすく、嬉しいニュースと言えますが、一方で住宅業界で働く立場からすると、終わりの始まりに感じます。
そこで今回は「戸建住宅東京都内で価格下落」の記事から深掘りして、住宅会社事情をご紹介します。
マンションと戸建ての傾向に違い
東京都内で戸建て住宅の価格が下落基調になっているようです。
不動産調査会社、「東京カンテイ」がまとめた首都圏の戸建て市場動向によると、敷地面積50平方メートル以上100平方メートル未満の新築小規模戸建ては、11月の平均価格が、東京都で前月比1.1%安の6481万円でした。
戸建ての下落は3カ月連続です。
同じ「東京カンテイ」の別の調査によると、中古マンションは東京都で10月時点の平均価格が70平方メートル換算では7170万円で、中古マンションは6カ月連続で上昇しているので、ここにきて戸建てと中古マンションの値動きに差が出てきていると報道しています。
新築小規模戸建ては、周辺では埼玉と千葉で価格が下落していて、神奈川県は横ばいのようです。
首都圏全体では3カ月連続の下落で、0.5%安の5311万円が現状です。
オープンハウス・デベロップメントはまさしく都市部の新築小規模戸建てをメインに販売している住宅会社で、前年比23.12%増と驚異的な伸びを見せているのは、マンション価格高騰や家賃の値上げ傾向も影響していると考えれます。
マンションは戸建て住宅とは違い転売しやすく、投資目的で購入する方や、一旦引っ越して住んだとても、将来的に売却して利益を得たいという半分以上は投資の目的で持ち家としてマンションを購入する方が多いです。、
一方で戸建住宅は東京都内でファミリー層で賃貸を借りようとすれば、地方とは比べようがない高い家賃になってしまので、一層東京都内でも郊外の戸建てを買った方が良いという考えで、戸建住宅を購入される方が多くいらっしゃり、投資目的というより、実際に住むことが目的の実需で購入される方が多いのが戸建住宅です。
ファミリーで住むとして3LD Kの広さが必要になると、さくっと東京都内の3LDKの賃貸の家賃を検索してみた結果は毎月12万円〜21万円くらいでした。
東京都内でも人気のある区だとしたら、もう少し高い家賃になると思います。
であれば新築小規模戸建てを買おうと考える、実需として住宅購入に踏み切った人は多くいらっしゃり、オープンハウス・デベロップメントが厳しい住宅業界の中でも昨年2023年は大きく売り上げを伸ばしている原因になったと言えます。
しかし今年の夏からはその状況が変わってきたようです
買いたくても買えない
住宅ローンの金利上昇や物価高の影響もさるところながら、東京都心部では限られた不動産の中で、東京一極集中の人口ボリュームを支えるには、住宅価格が過剰に高騰していました。
また低金利政策を続けたこともあって円安になり、外国人からすると日本の不動産は割安で、外国人に高く売れるので、日本の不動産価格が上がる原因の一つにもなっています。
あまりにも住宅価格が高く、特に東京23区内では、中古物件を含む販売不振が顕著で、「買いたくても買えない」という状況が続き、日本人のファミリー層は購入層が限られてしまっています。
買える人が減ってきて、今後も金利は上がっていくとみられるなかでは、夏場以降、売り手が在庫を抱えてしまっている可能性が出始め、価格を下げてでも販売戸数を増やしたいという流れができつつあります。
オープンハウス・デベロップメントは新築小規模戸建てで伸びているとご紹介しましたが、以前から首都圏中心に多くの分譲戸建て住宅を手がける飯田グループホールディングスは、グループ会社の中でも前年比マイナスの会社が増えている状況です。
戸建て住宅業界の終わりの始まり
実際は人手不足や原材料費高騰などで、住宅価格を下げるのは本来は難しいところ、需要に合わせて戸建で住宅の価格が下がれば、利益率の低下が住宅会社に直接的な打撃を与えます。
すでに東京周辺地域では値崩れが進み、千葉や埼玉の新築戸建価格も下落傾向が見え始め、無理を重ねる住宅会社資金繰りに行き詰まり、倒産が増加する懸念が高まっています。
価格を上げられない現状では、さらに品質や人件費の抑制が進むと、大工不足や職人技術の低下につながり悪循環を助長することになってきます。
戸建住宅業界は大手ハウスメーカーから中堅ハウスメーカー、ビルダー、地域住宅会社、工務店、大工さんと裾野が広く、中でも大手ハウスメーカーや中堅ハウスメーカー、ビルダーは社員の職人さんが住宅を建築しているのではなく、下請けの工務店や下請けの職人さんが建築しています。
人手不足や原材料費高騰で、本来は価格が上がるところを、金利上昇もあり、住宅を購入できる人が減り、需要に合わせて戸建住宅の価格が下落し始めると、下請けの工務店や下請けの職人さんにしわ寄せが行きがちで、工務店や職人さんの利益が圧迫されると、倒産や廃業する人が増え、住宅業界の終わりが始まっていくことになっていきます。
そのうちに下請けで建築していた元請けの住宅会社も淘汰されていきます。
特に在庫を抱えている住宅会社は、銀行で借入して計画した分譲戸建てが在庫になっていくと、資金繰り資が急に悪化し、元請けといえど淘汰されていきます。
戸建住宅東京都内で価格下落というニュースは東京都内だけにかかわらず、人口減少で需要が弱くなったり、労働者不足になる地方でも住宅業界の終わりの始まりになりそうです。
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