一部のネット銀行系の銀行で変動金利の住宅ローンの金利が上昇し始めました。
今回は中長期では金利が2~3%になる可能性について解説します。
まだまだ実質は金融緩和
自然利子率とは、経済や物価に対して引き締め的でも緩和的でもない実質金利のことを指します。
この自然利子率に予想物価上昇率を加えたものを中立金利と呼びます。
自然利子率 + 予想物価上昇率 = 中立金利
2023年12月の多角的レビューのカンファレンスの際、日本銀行の企画局は、自然利子率を「マイナス1.0~プラス0.5%程度」としています。
これを前提にすれば、安定した物価上昇が2%だとすると、自然利子率のマイナス1.0~プラス0.5に物価上昇率2%を足すので、名目中立金利は1%~2.5%ということになります。
中立金利が1%~2.5%なのに対し、現在の日本の政策金利は0.1%ですから、日本はまだ金融緩和が続いていると言えます。
2026年度後半には1%〜2.5%
日本銀行は、4月展望レポートで、消費者物価の基調的な上昇率は、「2026年度までの見通しで、期間後半には『物価安定の目標』と整合的な水準で推移すると考えられる」としています。
また日本銀行の植田総裁は「特に2026年度までの見通し期間の後半について、この通りの姿になっていくということであれば、そこでは私どもの政策金利もほぼ中立金利の近辺にあるという状態にあるんだろうなという展望は持っています」と語っています。
つまり安定的に2%の物価上昇が続けば、中立金利の1%~2.5%に近い政策金利にななることも十分考えれます。
つまり2026年後半には2.5%の政策金利になってしまうことも可能性を考えて住宅ローンを検討する必要があるということです。
変動金利の住宅ローン金利は中長期で3%も
マイナス金利政策の時から変動金利の住宅ローン金利は表面の最安で0.375%程度の金利でした。
政策金利マイナス0.1%に対して、0.375%程度とすると、政策金利と変動金利の住宅ローン金利の差は0.475%ということになります。
銀行によって違ってきますが、計画段階では政策金利に0.5%を上乗せして最悪の時のリスク分散を検討する必要があると言えます。
具体的には2026年末に政策金利が2.5%になると住宅ローン金利は3%になってしまう想定も考えて検討する必要があるということです。
2026年末に3%になった時の事例
最悪のことを考えて検討した時の例をご紹介します。
仮に2024年7月に3000万円を変動金利0.3%で借りた場合、当初2年半は月々75,253円の支払いですが、2026年の年末には月々113,567円になる可能性もあるということを考えて検討しておいた方が良いということになります。
月々の支払いがおおよそ1.5倍になっても家計が耐えれるのかという検討になります。
ここまで急速に金利が上がることはない可能性が高いですが、検討段階では検討しておくことをお勧めします。
無理そうであれば、借入額を減らすか、変動と固定のミックスや、固定金利を検討してみます。
私のこのチャンネルの過去動画で再三にわたり、東南海地震や台湾有事などで金利が大きく上がる可能性をご紹介しています。
本当に金利がそこまで上がるかは別にしていても検討はしたほうが良いと思います。
もし、私がこれから住宅ローンを組むのでなれば検討します。
最低でも検討すべき金利
2年半先に変動金利の住宅ローン金利が3%まで上がらないにしても、最低でも検討しておく必要がある金利についてご紹介します。
それは日本国債の10年利回りです。
本日2024年6月29日現在では日本国債の10年利回りは1.07%です。
少なくても10年先は政策金利が1%になっている世界になっていることはあり得るので、今の0%台の住宅ローン金利が続くとは考えない方が良いということです。
最低でも10年後の政策金利は1%になることは検討しておくべきで、10年後の政策金利1%に銀行の経費を足して、変動金利の住宅ローンは10年後は1.5%になていてもおかしくないと考えるべきです。
ちなみに日本国債の3年の利回りは現在0.419%で、5年の利回りは0.594%です。
このことを考えると3年先に0.9%、5年先に1.1%、10年先に1.5%程度になっても家計が耐えれるか検討しておくべきと言えます。
銀行はお客様を囲い込んだら金利上昇
変動金利の住宅ローン金利はマイナス金利政策の時とまだほぼ変わっていません。
現在はまだキャンペーン金利で変動金利のお客様を多く獲得しようとしています。
最も変動金利のお客様を囲い込んだ住信SBIネット銀行は既に金利を上げはじめています。
他の銀行もある程度お客様を囲い込んだら金利を上げ始めると考えておいた方が良いということになります。
私自身は慎重過ぎる性格もあってか、私なら2年半先に3%になってしまう可能性を検討してしまうとご紹介しましたが、実際に私は10年固定1.8%で借入して、15年経過した時点で一括繰上げ返済しました。
人それぞれお考えはあると思いますが、リスク管理は最悪の事態を想定して検討することが重要ですので今回日本銀行の資料や植田総裁の発言から最悪のシナリオを想定してご紹介しました。
よかったら参考にしてください。
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