【住宅業界の動向】大手ハウスメーカー海外比率・異業種参入激化・人員整理・将来予測

住宅会社選び

日本の住宅業界は大手ハウスメーカーを頂点に、大手ビルダー・工務店・大工まで競合しあい、それぞれの住宅会社に大工・内装・電気・水道などの専門業者が存在しています。

そんな住宅業界は、時代の流れで大きな転換点を迎えています。

住宅業界現状

住宅業界は元々地場産業で、地域ごとの実績と信用で仕事を確保してきました。

ところが日本では戦後に住宅の大量供給が求められ、住宅を工業生産化することでスケールメリットを活かそうとする流れができました。

いわゆる大手ハウスメーカーはそんな時代背景で登場し、大手という安心感で受注を確保して成長してきました。

日本の大手ハウスメーカーとしては、積水ハウス・大和ハウス工業・住友林業・ミサワホーム・旭化成ホームズ・パナソニックホームズ・一条工務店などが挙げられます。

これらの大手ハウスメーカーは耐震技術や耐久性・省エネなどの新しい技術を取り入れた住宅を次々に発売し、住宅業界をリードしてきました。

それでも住宅業界の中で大手ハウスメーカーの戸数のシェアは合計でも15%程度です。

残りの大部分はビルダーと呼ばれるローコストで急成長したタマホームや、不動産とセットで販売している飯田グループやオープンハウスなどの会社や地域の住宅会社、工務店、大工などで住宅を建築しているのが現状です。

時代背景としても少子高齢化で住宅の大量供給が不要になってきている背景もあると思います。

現に中でも積水ハウス・大和ハウス工業・住友林業はそれぞれの技術のノウハウを活かして、主戦場をアメリカやオーストラリアなどに移しています。

決算を見ても明らかに海外の事業に軸足を置いていて、海外での売り上げを伸ばし経営の安定化を図っています。

日本で住宅を大量供給する必要は無くなってきていますが、現在でも日本に置いて耐震技術や検査体制がしっかりしているだけに、安心を求めて大手ハウスメーカーを選択する方は多く全体の割合としても横ばいです。

少子高齢化による住宅需要の衰退や、職人さんの高齢化による人手不足、インフレに伴う販売しにくなった状況でも、海外での売り上げ比率が高いことで倒産しにくいことが評価され、住宅会社の倒産を恐れ保証面でも安心な大手ハウスメーカーを選択する人が多いのも実態です。

今年の1〜10月の10ヵ月の企業倒産の累計は8,323件で前年同期比17.6%増で企業倒産は増えいます。

11年ぶりに年間1万件超えの倒産件数が現実味を帯びてきた言えます。サービス業に続いて倒産が多いのが建築業です。

自然と建築中に倒産しないかを気にされるお客様は増えています。

一人親方と呼ばれる個人事業主の職人さんが多いのも建築業の特徴で、インボイス制度の導入によって住宅価格を値上げせざるを得なくなり、大手の住宅会社と中小企業の住宅価格の差は縮まっている影響も見られ始めました。

異業種参入

近年はホームセンターや家電量販店なども住宅業界へ参入し始めています。

いずれも少子高齢化で本業以外の売り上げを伸ばすため、ホームセンターや家電量販店は住宅と関連性が高く、今後増えていくリフォーム需要を見込んで住宅業界に参入してきています。

ホームセンターでは専門の相談員を配置して、工務店と連携して顧客の相談に対応しています。家電量販店は太陽光発電や省エネ給湯器などを切り口にリフォーム工事の受注に繋げています。

中でも家電量販店大手のヤマダ電機は異業種の住宅バイ車を買収して住宅業界に進出してきています。エスバイエルなどの住宅会社や設備メーカーのハウステック、リフォーム会社のナカヤマ、家具の大塚家具などを子会社化して住宅業界全般を取り込もうとしています。

また家具のニトリも中古戸建て買取再販のカチタスを子会社化し、リフォームした住宅にニトリの家具をセットで販売する戦略を打ち出しています。

保険大手のSONPOホールディングスもリフォーム会社を子会社化し、火災保険や介護ルートを活用した市場を開拓しています。

ヤフーショッピングや楽天市場もリフォームサービスを販売しています。

様々な異業種分野から住宅業界に参入する流れがありますが、そもそも大手ハウスメーカーの住友林業・積水化学工業・旭化成ホームズ・パナソニックホームズ・トヨタホームなども元々は異業種からの参入だったと言えます。

そもそも日本では少子高齢化で住宅需要は小さくなっているのに、異業種からの多くの企業が参入してきたことで、規模の小さな住宅会社は大手ハウスメーカー以外でも日々競合し合っているのが住宅業界です。

これからの住宅業界

私は香川県で仕事をしていますが、大手ハウスメーカーからビルダー、地域の住宅会社、工務店と様々なタイプの住宅会社で働く方々と交流があります。

様々なタイプの住宅会社で働く人と交流させていただく中で、最近で一番衝撃的だったのが、大和ハウス工業の住宅営業が香川県で8人で、その8人のうち4人が建売りの専属で、注文住宅の住宅営業は4人ということでした。

香川県の地元の住宅会社より住宅営業の数が少なくなっていることに驚きました。

ちなみに大和ハウス工業の昔からのライバルの積水ハウスは香川県で20人以上住宅営業がいます。

住宅総合展示場にくるお客様が減ってきていたり、今後AiやDXが進めばそれほど住宅営業の数を揃えておく必要がなくなるかもしれません。

また私のような1級建築士は半数以上が50歳以上です。

若い人で建築を目指す人が減ったり、若い人の中で責任のある仕事をしたくないという人が増えている影響もあるかもしれません。

音楽の作曲は最近Aiでジャンルや好みを入力すると、Aiが作曲するようになりました。

最近話題になったAiが作った80年代風シティポップをYouTubeで聞いてみると、確かにどこか懐かしい歌詞や、当時流行ったリズムやコーラスが再現されていました。

もしかすると近い将来住宅の設計も敷地情報やお客様の家族構成や嗜好やこだわりを入力すると、お客様にとってベストな間取りや外観がAiでできる時代が来るかもしれません。

大手ゼネコンではすでに設計にAiを利用し始めています。モ

ノづくりの現場といえ、工場生産品のようには建築現場は合理化しにくいですが、営業や設計などは人を減らせる業界になるかもしれません。

M&Aや業界再編成や他業種からの参入などが活発化したり、逆に生き残りの戦いに敗れて淘汰していく業者は今後増えたりすると予測します。


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